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Apple M1環境でLinuxを動かす「Asahi Linux」向けのApple GPUドライバーがついに実装される


Apple独自開発のSoC「M1」チップを搭載するMac上での動作を目指すLinuxディストリビューション「Asahi Linux」に、Apple GPUドライバーが2年間の開発を経てついに実装されました。

Apple GPU drivers now in Asahi Linux - Asahi Linux
https://asahilinux.org/2022/12/gpu-drivers-now-in-asahi-linux/

Asahi Linux向けに登場したGPUドライバーはまだアルファ版ですが、OpenGL 2.1とOpenGL ES 2.0をサポートしており、GNOMEやKDEのようなデスクトップ環境でのハードウェアアクセラレーションには十分なものだとのこと。改善の余地はあるものの、Quake3やNeverballのような古めの3Dゲームを4K 60fpsで実行するのに十分な性能を備えているそうです。


また、これらのドライバはまだOpenGL(ES)の適合性テストに合格していないため、バグが発生する可能性があるとのこと。

AppleのM1チップは仕様を公開していないため、Asahi Linuxの開発者に携わる有志がリバースエンジニアリングを行うなどして開発を進めています。2022年10月24日には、Apple M1環境でLinuxを動かす「Asahi Linux」のGPUドライバーが99%以上という成績でテストをパスしたという報告がなされていました。

Apple M1環境でLinuxを動かす「Asahi Linux」のGPUドライバーがついに99%以上という成績でテストをパスしたという報告 - GIGAZINE


その後も主にカーネルドライバーの開発が進められ、今回のOpenGL 2.1対応のドライバー実装にこぎ着けています。Vulkanについても対応に向けて取り組み中とのことですが、途方もない時間と労力がかかってしまい、OpenGL 2をVulkanに変換するよりも、OpenGLを最初にサポートする方が理にかなっていると考えたとのことです。

ドライバーはまだ開発中なので既知の問題がたくさんあるそう。例えば、今後パッケージが更新された場合、更新後に再起動するまでグラフィックアプリが起動しなくなったり、ソフトウェアレンダリングにフォールバックする可能性がありますが、これは正常な状態だとのこと。

OpenGL 3などのサポートも引き続き進められており、SuperTuxKartの遅延レンダラがフルスピードで動作し、マルチレンダーターゲットのようなOpenGL ES 3の機能を自由に使用している様子が新たに公開されています。


Asahi Linux開発者の1人である朝日リナ氏は、公式ブログでM1 GPUのドライバー開発について解説しています。

Asahi Linux開発者のVTuberが「AppleのM1 GPUをLinuxで動作させるためのドライバー開発」について語る - GIGAZINE


リナ氏と開発者のアリッサ・ローゼンツヴァイク氏は「皆さんがドライバーを楽しむことを願っています。まだ物事は急速に進んでいるので、アップデートやバグフィックスのために定期的にパッケージを更新することに留意してください」と述べました。

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in ソフトウェア, Posted by log1p_kr

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