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国内総生産(GDP)は国家の成功の誤解を招く尺度なので別の指標を使うべきという科学者たちからの提案


国内総生産(GDP)は国家の成功を測る指標としては誤解を招きやすく、各国は今すぐ新しい指標を取り入れるべきだと、オーストラリア国立大学クロフォード公共政策大学院のロバート・コスタンザ氏らは指摘しています。

Development: Time to leave GDP behind | Nature
https://www.nature.com/articles/505283a

GDPは1930年代から1940年代にかけて開発され、国連は各国にGDPを報告するためのデータ収集を義務づけています。しかし、それ以前からGDPの考案者であるサイモン・クズネッツ氏はGDPの成長を幸福度と同一視しないよう警告しています。

GDPは主に市場での取引を測定するものですが、社会的なコストや環境への影響、所得の不平等を無視しています。そのため、GDPは実社会には適していないとされているものの、明確な後継となる代替策がないこともあり、第二次世界大戦後のほぼすべての国家ではGDPの成長を促進することが国家政策の主要な目標であるとされています。


一方で研究者たちによって、GDP成長の環境的・社会的影響や所得格差の影響を推定できるようになり、その後多くの実験により、GDPの代替となる尺度が生み出されています。

そのうちの1つに、国連が2015年にまとめた「持続可能な開発目標(SDGs)」があります。これらの目標に付随する新たな測定方法の開発は、不平等が拡大し、環境が破壊され続けることを食い止めることができるとされています。


GDPに代わる成長の指標には3つのグループが挙げられています。

◆1:調整済み経済指標
「真の進歩指標(GPI)」はGDPの主要な構成要素である個人消費支出に加え、ボランティア活動の価値や離婚、犯罪、公害などの要因を考慮し、さまざまな計算を行うことで算出される指標です。この指標により、年間所得や純所得、富を考慮しつつ、環境問題なども考慮することができます。

◆2:幸福の主観的尺度
世界価値観調査(WVS)」は約70カ国を対象に、「自分の人生にどれだけ満足しているか」などについて質問しています。主観的な幸福度調査は社会の進歩を測る最も適切な指標とされていますが、一方で社会や文化の違いを超えて比較することは難しいと言われています。2006年に発表された「地球幸福度指数(HPI)」では生活満足度と平均余命を掛け合わせ、それを生態系への影響を表す指標で割ることによって、主観的指標と客観的指標を統合することができるとされています。

◆3:複合的な幸福指標
より良い暮らし指標(BLI)」は、所得、住居、仕事、健康、市民生活、安全、生活満足度などのさまざまな変数を組み合わせた指標です。BLIでは異なる変数の重視度によってどのような影響が生じるかを明らかにしています。


これらの指標を総合的に判断することで、GDPよりもはるかに優れた指標を構築することができると研究者らは説明しています。

また、GDPの後継についてロバート・コスタンザ氏らは、「生態学、経済学、心理学、社会学が一体となって持続可能な幸福の確立と測定にどのように貢献しているかについての現在の知識を統合した、新しい測定基準の集合体であるべきです」と述べています。

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in メモ, Posted by log1r_ut

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