サイエンス

犯罪現場に居合わせたネコから犯人の手がかりになるDNAを採取できる可能性


飼っているペットが何かを伝えたいかのように飼い主を見つめたり、鳴きかけたりしてくることはしょっちゅう起こります。「動物と言葉でコミュニケーションを取れればいいのにな」と思う人は多いはずですが、それは犯罪現場を検証する捜査員も同じです。飼いネコに付着したDNAを調べた研究により、現場にただ1匹残された「もの言えぬ証人」が、実は犯罪捜査の役に立つかもしれないことが分かりました。

Is there human DNA on cats - Forensic Science International: Genetics Supplement Series
https://doi.org/10.1016/j.fsigss.2022.10.014

Cats May Be Harboring Crime Scene DNA, Scientists Say : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/cats-may-be-harboring-crime-scene-dna-scientists-say

近年DNA分析技術は非常に洗練されてきており、わずかな残留物でさえ犯罪捜査の手がかりになることがあります。DNAは壁や床、置物などのほか、動物に付着した物質からも採取できることがあるとのこと。人間が動物を直接触らなくても、空気中に舞った皮膚細胞や体毛が付着することがあるそうです。


オーストラリア・フリンダース大学の法医学者であるハイディ・モンクマン氏は、警察所属の法医学者であるローランド・ヴァン・オースホット氏と協力し、飼いネコからヒトのDNAの痕跡を抽出できないかどうか検証しました。

調査は15世帯・20匹のネコを対象に行われました。研究者はネコの右側の毛を拭って物質を採取し、人間からDNAサンプルを集め、さらに人間にネコの行動や習慣に関するアンケートに回答させました。このアンケートには、「ネコが誰に、どれくらいの頻度で触られていたか」という項目も含まれていました。


この結果、ネコから採取した物質の80%が検出可能なレベルのDNAを含んでいたとのこと。そのDNAのほとんどは家族のものでしたが、6匹のネコからは未知の人間のDNAが検出されたそうです。

その6匹のうち、2匹のネコは子どものベッドで過ごすことが多かったとのこと。今回の調査において子どものDNAは採取されなかったため、検出されたDNAが子どものものだと考えると、この結果は納得がいくそうです。しかし、残りの4匹から見つかったDNAの出どころは最後まで分かりませんでした。この4匹のネコが家の外に出たことはなく、少なくとも2日は来客すらなかったそうです。

考えられる原因としては、以前誰かからなでられた時に付着したDNAが残っていたか、DNAが付いたブラシで毛をすかれた可能性があるとのこと。このような形でネコに付着したDNAから容疑者を特定するのは難しいそうですが、他の証拠を裏付けたり、容疑者を除外したりするのに役立てられます。


モンクマン氏は「DNAがどうやってネコに付着したのか、どのように残ったのかは不明です。人間からネコへDNAが付着するという点について、さらなる研究が必要です」と述べました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1p_kr

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