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TwitterやFacebookが政府の要請でどのようにコンテンツを削除してきたかが明らかに、Facebookは削除対応用のポータルサイトまで作成


TwitterやFacebookというソーシャルメディアが、アメリカ政府からのさまざまなコンテンツ削除要請に対応してきたと、海外メディアのThe Interceptが報じました。Facebookは政府からの削除要請に迅速に応じるため、ポータルサイトを用意して非政府組織(NGO)と協力しながら政府のポリシーに違反するコンテンツの削除に取り組んでいることも明らかになっています。

Leaked Documents Outline DHS’s Plans to Police Disinformation
https://theintercept.com/2022/10/31/social-media-disinformation-dhs/

The Interceptは独自の調査により、アメリカ合衆国国土安全保障省(DHS)の内部資料やメールを入手しており、ここからDHSが危険とみなした言論を統制するための取り組みが静かに、しかし確実に進行中であると報じています。


DHSによる取り組みのほとんどが公には知られていなかったものの、同期間が2022年初頭に「偽情報ガバナンス委員会」の発足を発表したことで、取り組みの一部が明らかになりました。なお、偽情報ガバナンス委員会は「偽情報(意図せず拡散された偽情報および意図的に拡散された偽情報)」を的確にモデレーションするために発足された集まりで、「アメリカの利益を脅かす可能性のある誤情報の抑制」にも取り組む予定でした。しかし、偽情報ガバナンス委員会の存在は、世間一般に広く嘲笑されることとなったため、委員会の規模はすぐに縮小し、数カ月後には委員会そのものが閉鎖されることとなっています。

偽情報ガバナンス委員会の閉鎖後、DHSはソーシャルメディアの監視に重点を置くようになり、その結果行われるようになったのが「オンライン上での議論に政府が介入する」ための「コンテンツ削除要求を合理化するための仕組みの構築」だそうです。これはミズーリ州の司法長官であるエリック・シュミット氏が提起した訴訟に関する資料でも明らかになっています。

「コンテンツ削除要求を合理化するための仕組みの構築」を目指すDHSに呼応する形で、Facebookはすでにコンテンツ削除要請のためのポータルサイトを作成しており、記事作成時点ではポータルサイトが正常に動作しているとThe Interceptは報じています。一方、Twitterの広報担当者はThe Interceptに対して、「コンテンツモデレーションを行うための決断について、Twitterが他団体と調整することは一切なく、同社のルールに沿ってコンテンツを独自に評価します」と声明を出し、DHSとの協力関係を否定しています。


DHSがインターネット上の偽情報をモデレーションすることに関心を抱くようになったのは、2016年のアメリカ大統領選挙においてロシアが偽情報を用いて選挙結果を操作しようとしたことに端を端を発しています。その後、2020年にCOVID-19のパンデミックが起きたことで、モデレーションに対する取り組みはさらに加速することとなった模様。

DHSが作成した「Quadrennial Homeland Security Review」という名称の内部資料によると、DHSはこれまでTwitterやFacebookといったソーシャルメディアに対して、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの起源や、COVID-19ワクチンの有効性、人種的正義、アメリカのアフガニスタンからの撤退、ウクライナに対するアメリカへの支援の性質」に関する不正確な情報を削除することを求めてきたそうです。内部資料には「これらの課題は疎外されたコミュニティ上で特に深刻な影響をおよぼします」「有色人種を対象に、投票手順に関する虚偽の情報や誤情報を広めるというケースが特に多いです」と記されています。

DHSがコンテンツモデレーションの対象となる偽情報をどのように定義しているかは明確に記されていないため、The Interceptは「DHS職員は何が危険な言論を構成するかについて、政治的動機により決定を下すことができる」と問題点を指摘しています。


なお、DHSによるコンテンツモデレーションがアメリカのソーシャルメディアユーザーにどの程度影響するかは不明です。しかし、2020年のアメリカ大統領選挙において、政府が選挙関連のコンテンツを検閲し、フラグを立てられたコンテンツの多くが削除されたことがシュミット氏の起こした訴訟に関する別の文書で明らかにされています。

また、2020年の大統領選挙前に、Twitter、Facebook、Reddit、Discord、Wikipedia、Microsoft、LinkedIn、Verizon Mediaといった企業が、政府機関のFBIやCISAと会合を持っていることが報じられており、「これも民間企業と政府の間でひそかに進められていたコンテンツモデレーションに関する取り組みの一端を垣間見ることができた瞬間」とThe Interceptは記しています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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