セキュリティ

イランの原子力機関がハッキングされ発電所や核計画に関連する50GBの電子メールや重要文書などが流出、政治犯を釈放せよとハッカーが声明


イスラム国家であるイランで、22歳の女性であるマハサ・アミニさんが「イスラム教で定められているヒジャブを着用せずに髪や頭を露出した」として警察に撲殺された事件を受けて大規模なデモが起こり、反政府を訴える声が大きくなりつつあります。そんなイランの原子力機関の電子メールサーバーがハッキンググループによって攻撃され、発電所の建設計画や契約書類を含む50GBのファイルが流出したと報じられています。

Iran releases footage from prison fire, adding to mystery | AP News
https://apnews.com/article/iran-technology-dubai-middle-east-business-944d99079fca61439d64054db6bde941

アミニさんの事件を受けて、イランの首都・テヘランでは大規模な反政府デモが頻発しています。警察はデモを鎮圧するために催涙ガスだけではなく実弾も用いていると報じられており、権利保護団体の推計によると200人以上が死亡しているそうです。


テヘランで開催されたデモとその鎮圧は以下のムービーから見ることができます。

Clashes at Tehran demo over Mahsa Amini's death - YouTube


さらにイランのエヴィン刑務所で、2022年10月22日の夜に火災が発生。このエヴィン刑務所には、アミニさんの事件以来頻発しているデモの参加者を含む政治犯が多く収容されており、この火災で少なくとも8名の受刑者が死亡したと報じられています。イラン政府はその後、エヴィン刑務所の監視カメラ映像を公開し、「火災は一部の受刑者が縫製工場に火をつけたために起こったものであり、刑務所での騒動は敵の工作員と脱獄を企てた一部の受刑者が起こしたもの」と主張しています。

しかし、インターネットにはすでにエヴィン刑務所の火災を捉えたムービーが出回っていました。映像には銃声や爆発音、受刑者の叫び声がそのまま録音されていたことから、イラン政府の発表の真偽を疑う声が上がっています。

Massive fire erupts at Evin prison in Tehran as gunshots are heard - YouTube


そんな中、2022年10月23日に、イラン原子力機関は「正体不明のハッカーが子会社のネットワークに侵入し、電子メールシステムに自由にアクセスした」と発表しました。これを裏付けるように、匿名のハッキンググループ「Black Reward」がイラン原子力機関への攻撃に対する犯行声明を出し、イラン政府に対して24時間以内に政治犯を釈放しなければ、イラン政府の核計画に関する文書を公開すると述べました。

Black Reward, an Iranian hacker group, claims to have breached the Iranian government and exfiltrated sensitive data related to their nuclear programs.

They informed the Iranian government they have 24 hours to release political prisoners or they will release the documents. pic.twitter.com/17J8rZfAHo

— vx-underground (@vxunderground)


ハッキンググループは、実際にハッキングに成功した証拠として、イランがロシアから支援を受けて建設したブシェール原子力発電所に関する合計50GBもの電子メールデータや契約書、建設計画書をテレグラムでファイル共有したと発表しました。ハッキンググループはテレグラムで「私たちは西洋人と異なり、犯罪者とたわむれることはありません」と述べています。

イラン原子力機関はハッキンググループがアメリカもしくはイスラエルの組織の仕業だと断定し、「ハッキンググループが絶望ゆえに違法行為にいそしむのは、世間の注目を集めることを目的としています」とコメントしました。

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in 動画,   セキュリティ, Posted by log1i_yk

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