AppleのAirDrop経由で「反習近平ポスター」が中国で広まる一方で「独裁者で裏切り者の習近平」の排除を要求する抗議の後に数千ものWeChatアカウントが停止

中国では最高指導者の習近平国家主席に対する批判は取り締まりの対象となっているのですが、この取り締まりから逃れるために、Appleデバイス間で無線通信を介してファイルを送信できるシステム「AirDrop」経由で反習近平をアピールするポスターが広まっていると報じられています。

Anti-Xi Jinping Posters Are Spreading in China via AirDrop
https://www.vice.com/en/article/wxn7nq/anti-xi-jinping-posters-are-spreading-in-china-via-airdrop

以下が実際にAirDropで配布されたポスターの一部。ポスターには「私たちはPCR検査ではなく、食べ物を望んでいる。封鎖ではなく自由を望んでいる」「独裁者で裏切り者の習近平」「さよなら習近平！」「独裁に反対、全体主義に反対、専制政治に反対」などのスローガンが書かれているとのこと。

このポスターに書かれたスローガンは、2022年10月中旬に北京の高速道路の高架下に掲げられた横断幕に書かれたものと同じだとのこと。中国では政府に反対するデモが禁止されており、インターネット上でも習近平を批判するコメント・写真・画像は監視する当局によって検閲されています。

高速道路に横断幕が掲げられた様子はムービーで撮影されており、以下で見ることができます。

Chinese protest banners calling for Xi Jinping's removal taken down by Beijing officials - YouTube


しかし、AirDropはデバイス間のみで無線通信を行うため、SNSと比べると当局による追跡が困難。当局による監視の目をかいくぐって習近平を批判するポスターを配布するには、AirDropは最適というわけです。同様の手法は、2019年～2020年に行われた香港民主化デモでも使われていました。

さらにAirDropだけではなく、大学のトイレの壁や掲示板、中国国外にポスターを貼ったりスローガンを書き殴ったりする人も出てきているそうです。

なお、SNS上で瞬く間に拡散されましたが、すぐに検閲されて削除され、さらに「橋」「勇敢」「北京」などの言葉も検閲リストに追加されたとのこと。中国の日常生活には欠かせないソーシャルメディア・WeChatには、横断幕の事件の映像や写真が出回った直後に「アクセスができなくなった」という苦情が殺到。事件の映像や写真を共有した数千人のアカウントが停止されたことで、一部のユーザーは「私はこのアカウントを10年間使っており、メッセージや写真をたくさん保存していて、非常に貴重なのです」と述べて必死に謝罪したと報じられています。

Chinese Internet Users Lose Access to WeChat App After Beijing Protest - WSJ
https://www.wsj.com/articles/chinese-internet-users-lose-access-to-wechat-app-after-beijing-protest-11665757947