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チェスで不正疑惑をかけられているハンス・ニーマンに過去の対戦で100回以上不正の疑い


不正疑惑の渦中にいるチェスのグランドマスター、ハンス・ニーマン氏の経歴を調査した結果、ニーマン氏が以前に公に認めていた内容をはるかに超える「疑わしい行為」があった可能性を、世界最大のオンラインチェスサイトであるChess.comが指摘しました。

Hans Niemann Report - Chess.com
https://www.chess.com/blog/CHESScom/hans-niemann-report

Chess Investigation Finds That U.S. Grandmaster ‘Likely Cheated’ More Than 100 Times - WSJ
https://www.wsj.com/articles/chess-cheating-hans-niemann-report-magnus-carlsen-11664911524

チェスの世界王者であるマグヌス・カールセン氏は、自身の連勝を止めたニーマン氏に対し不正行為の疑いをかけており、2022年9月19日に行われた「Julius Baer Generation Cup」の対戦においてニーマン氏と対戦したカールセン氏は、自らの2手目を指すことなく投了しました。カールセン氏は後にこれが抗議の意を示した行為であったことを認め、「ニーマン氏は公に認めていたよりも多く、直近にも不正行為を行っていると信じている」と述べていました。


記事作成時点で19歳となるニーマン氏は「12歳と16歳のときにオンライン対戦で不正をしたものの、以降はしていない」と反論。証明のために裸でプレイしてもいいと主張しました。また、ニーマン氏がカールセン氏を打ち負かした試合においては、大会運営側から「不正行為はなかった」とする公式声明が発表されています。

しかし、Chess.comがまとめ、ウォール・ストリート・ジャーナルが精査した72ページに及ぶ報告書によると、ニーマン氏がかつて不正行為を行った可能性を100以上の試合で指摘できるとのこと。Chess.comは以下の表を公表し、各イベント(Event/Match)において、ニーマン氏が参加した試合(# Games in Event/Match)のうち、不正があったと思われる試合の数(# of Games Likely Cheated In)がいくつあるかを明らかにしました。例えば、2015年7月7日に行われた「Titled Tuesday 3|2 Blitz」という試合では、ニーマン氏が参加した9試合すべてで不正があったと考えられるとのこと。


Chess.comは、人間のプレイヤーに勝る実力を持ったチェスエンジンが推奨する手と比較したり、プレイヤーの過去のパフォーマンスを研究したり、プレイ中に他のブラウザなどを開くなどの行動を監視したりするなど、さまざまな不正行為検出ツールを用いてこの結果を打ち出したことを明らかにしています。

また、上記のツールをもとにニーマン氏の勝率を調べた結果、ニーマン氏は他の有名プレイヤーと比較して、Chess.comにおけるスコアの増加速度が最も速かったことが分かっています。以下のグラフは縦軸が成長度、横軸がプレイヤーを表しており、赤棒で示されたニーマン氏が最も強い成長度を見せているのが分かります。


なお、Chess.comは2020年に一時的にニーマン氏を追放しましたが、後に規制を解除しています。しかし、シンクフィールド・カップでの疑惑が生じたため、Chess.comは2022年9月9日にニーマン氏をプラットフォームから再び追放したことを明らかにしました。Chess.comは歴史的に追放を内々に処理し、その詳細を公表することはありませんでしたが、今回のニーマン氏の問題は「その慣行から逸脱したもの」であるとし、この結果を「共有せざるを得ない」と感じたとしています。

pic.twitter.com/sFMrmocLcS

— Chess.com (@chesscom)


Chess.comのチーフオフィサーを務めるダニエル・レンシュ氏は「ニーマン氏の疑わしい動きはPCで別の画面を開いている時と重なり、あたかもチェスエンジンに最適な手を相談しているように見えます。試合における不正行為を支持する強力な統計的証拠と、画面を移動したときの方がはるかに良いパフォーマンスを発揮する明確な証拠を提示する準備があります」と記しました。

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in ゲーム, Posted by log1p_kr

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