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「Google Chrome 106」安定版リリース、CJKフォントセット向けの単位が追加


ウェブブラウザ「Google Chrome」の最新安定版であるバージョン106.0.5249.62(Windows版、macOS版/Linux版は106.0.5249.61)がリリースされました。CJKフォントセットに特化した単位が追加される他、数値フォーマットを便利に指定できる機能が拡充されたり、ポップアップ画面をより簡単に実装できる仕組みがオリジントライアル入りしたりと、よりウェブ開発を快適に行える機能が追加されています。

New in Chrome 106 - Chrome Developers
https://developer.chrome.com/blog/new-in-chrome-106/

New in Chrome 106: Intl API Improvements, Pop-Up API, CSS Improvements, and more! - YouTube


◆CSSにおける長さの単位に「ic」を追加
CSSでHTML要素のサイズを指定するために使用される単位として、「px」や「em」といったものが存在しますが、これに「ic」という単位が追加されます。これはCJKフォントセットには必ず含まれているはずの「水」グリフのレンダリングサイズ予測値を基準とするものです。つまりこれは全角グリフ特化版の「em」といえ、「水」のサイズを予測できない(「水」グリフの存在しないフォントセットが指定されている場合など)状況下ではこの単位は「em」と同等となります。この単位が実装されることにより、日本語サイトのデザインを行う際のサイズ指定が便利になる可能性がありそうです。「ic」の具体的な使い方やその効果については、Chromeを更新後に以下のサイトで確認できます。

CodePen Embed - ic - demo
https://codepen.io/web-dot-dev/embed/eYrybaj


◆Intl.NumberFormat v3 API
Intl.NumberFormat v3 APIは、従来のIntl.NumberFormatに以下の拡張をおこなったものです。

1. 値の範囲を書式化する新規関数3つの追加
 ・formatRange()
 ・formatRangeToParts()
 ・selectRange()
2. グループ化列挙型の追加
3. 新しい丸め/精度オプションの追加
4. 文字列を10進数として解釈する方法の追加
5. 丸めモード
6. 新オプション「signDisplay: "negative"」の追加

これらが実装されたことで、数値表現のローカライズが容易になり、多言語対応の敷居が下がることが期待されます。


◆SerialPort BYOBリーダーのサポート
BYOB(bring your own buffer)リーダーを使用することにより、ストリームがチャンクごとに新しいバッファーを割り当てることなく、データが読み込まれるバッファーを指定できます。これにより、メモリ負荷が軽減される可能性があるだけでなく、ストリームは提供されたバッファー内に占めるスペースよりも多くを返すことができないため、受信データの量を抑制できることになります。

◆CSSプロパティ-webkit-hyphenate-characterのベンダープレフィックスなし版の追加
hyphenate-characterは長い文字列がハイフネーションされる際に折り返しの末尾に付加する文字を指定するCSSプロパティですが、これまでのChromeではベンダープレフィックスを付加した-webkit-hyphenate-characterを使用する必要がありました。今回の更新により、ベンダープレフィックスなしのhyphenate-characterがサポートされます。なお、現時点では-webkit-hyphenate-characterも引き続き使用可能です。

◆WebCodecsの「dequeue」イベント
WebCodecsの以下のインターフェースに、新たに「dequeue」イベントが追加されました。

AudioDecoder
VideoDecoder
AudioEncoder
VideoEncoder

これらのインターフェースのencode()メソッドもしくはdecode()メソッドが呼び出されると、エンコード・デコードの作業がキューに入ります。WebCodecsがキューに入れられた作業の一部またはすべてを取り込んだ(つまり作業がキューから解放された)時点で「dequeue」イベントが発火します。このイベントが実装されたことにより、定期的にポーリングしてキューが減少したことを確認するようなコーディングから解放されることになります。

◆永続クォータの廃止
Window.requestFileSystem()メソッドのパラメータで使用されるWindow.PERSISTENTクォータタイプのサポートが廃止されます。このタイプをサポートすることに一定の有益性はあるものの、非推奨メソッドであるWindow.requestFileSystem()でしか用いられないため今後の使用率は下がることが予測され、また永続クォータを使用しているとストレージのパーティショニング作業の妨げとなることも廃止を後押ししたようです。

◆非推奨とされた機能
上述の永続クォータの他にも以下の機能が非推奨とされ、削除対象となりました。

・「Domain」属性に非ASCII文字を含むCookie
・HTTP/2プッシュ

◆オリジントライアル
以下の機能がオリジントライアル入りしています。

・Anonymous iframes(COEPに対応していないサードパーティのiframeをCOEP有効下でも表示可能にする仕組み)
・Pop-Up API(ポップアップ画面を簡単に導入可能にする仕組み)


また、「Google Chrome 106」には20件のセキュリティバグフィックスが含まれています。

なお、次期安定版の「Google Chrome 107」は現地時間の2022年10月25日にリリース予定です。

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in ソフトウェア, Posted by log1c_sh

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