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NASAの開発した新型宇宙服向け技術は更年期障害の症状を軽減するかもしれない

by Ivan Radic

日照下では最高120度、日陰に入るとマイナス160度と、温度差が非常に過酷な宇宙で宇宙飛行士が安全に活動するために、宇宙服には気密性以外にも高い断熱性が求められます。かつてNASAが宇宙服向けに開発した技術が、更年期障害の軽減に応用されようとしています。

NASA-Funded Technology Helps Relieve Symptoms of Menopause | NASA
https://www.nasa.gov/directorates/spacetech/spinoff/nasa_funded_technology_helps_relieve_symptoms_of_menopause


NASA-funded spacesuit tech may help with menopause relief | Space
https://www.space.com/nasa-funded-spacesuit-tech-menopause-relief

アメリカ国立衛生研究所によれば、アメリカでは年間130万人が更年期障害の症状を訴えているそうです。更年期障害の症状の1つに、自律神経の変調から体温調節システムがうまく働かなくなるというものがあり、特に閉経後の女性には「ホットフラッシュ」と呼ばれる突発的な高熱があるとのこと。何年も続く更年期障害に伴う体温調節の変調は体力の減衰を招きます。


ロンドンで中高年向けのアパレルメーカーを設立したルイーズ・ニコルソン氏は、更年期障害に悩む女性が夏を快適に過ごすための手助けをしたいと考えたそうですが、そういった服はどこにもなかったとのこと。

ホットフラッシュになって急激に体温が上昇しても涼しく過ごすことができるような衣服を探し求めた結果、ニコルソン氏はNASAの「Outlast」と呼ばれる技術にたどり着いたそうです。

1980年代にNASAのジョンソン宇宙センターは、宇宙服の手袋の断熱性を高める方法を探していました。そこで応用されたのが「相変化材料」です。相変化材料とは固体から液体、あるいは液体から固体に相変化する際に温度を一定に保つ材料のこと。この相変化材料を埋め込んだマイクロカプセルを宇宙服の手袋に使う素材に練り込むことで、宇宙服内の温度が一定になることが示されたそうです。

by Karl Tate

この相変化材料を使ったOutlast技術は最終的に宇宙で使われることはありませんでしたが、のちにNASAと協力して開発した民間企業からGateway Technologies(後のOutlast Technologies)が独占特許権を取得したことをきっかけに、ニコルソン氏はOutlastを取り入れた服の販売を始めました。このOutlastは更年期障害対策のシャツだけでなく、スカーフ、フェイスマスク、ターバンなどのアクセサリーなどにも用いられているそうです。

なお、長期の宇宙任務において、女性の月経は宇宙飛行士の健康問題の中でも特に重要な課題の1つです。NASAでは、長時間作用型可逆的避妊薬(LARC)や子宮内避妊器具などを使った技術を研究中とのことですが、いずれもまだ初期段階だそうです。

by Harrison Earl

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in メモ, Posted by log1i_yk

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