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存在そのものがほとんど知られていない歴史ある秘密結社8団体を解説


活動目的や活動内容、あるいは結社の存在そのものを秘密にすることで世にほとんど知られていない「秘密結社」は世界中に数多く存在します。最も有名な秘密結社であるフリーメイソンは謎多きゆえに陰謀論にもよく名前が挙がる存在ですが、その実態は世界規模の友愛結社です。フリーメイソン以外にも存在している秘密結社について、スミソニアン学術協会が運営するメディア・Smithsonian Magazineが8団体を紹介しています。

Eight Secret Societies You Might Not Know | History| Smithsonian Magazine
https://www.smithsonianmag.com/history/secret-societies-you-might-not-know-180958294/

◆1:Improved Benevolent and Protective Order of Elks of the World(IBPOEW)
IBPOEWは、1899年に2人の黒人男性が「Benevolent and Protective Order of Elks of the World」という団体に入会を拒否されたために、自分たちで新たに設立した秘密結社です。きっかけとなったBenevolent and Protective Order of Elks of the Worldは、ニューヨークの社交クラブとして1892年に設立された団体です。「至高の存在(神)を信じること」が入会条件でしたが、1970年代までは会員資格が「アメリカ国民で21歳以上の白人男性、健全な心身を持ち、共産主義者でないこと」に限定されていました。活動内容は当初「適切な料金で娯楽や酒、食事を楽しむ場の提供」でしたが、のちに青少年育成や寄付などの慈善活動も行うようになりました。

シアトルの地方紙であるThe Seattle Republicanの1907年7月12日号では、「IBPOEWはアフリカ系アメリカ人の間で最も栄えている秘密結社の1つ」と報告されています。このIBPOEWは当時黒人の男女が社交できる数少ない場所だったといわれています。このIBPOEWも教育奨学金プログラムやサマーキャンプ、社会奉仕活動などを行っています。

◆2:Grand Orange Lodge
「オレンジ教団」という名前でも知られるGrand Orange Lodgeは、オランダ総督だったイングランド王ウィリアム3世に由来し、北アイルランドの小さな村に設立されました。活動目的は「プロテスタントの保護」でしたが、全人口の80%以上がカトリック信者であるアイルランドにおいて、Grand Orange Lodgeの活動目的は政治的に反発を受けやすいものでした。1849年に第4代クラレンドン伯爵だったジョージ・ウィリアム・フレデリック・ヴィリアーズがGrand Orange Lodgeを支援したことで、地元新聞紙は「クラレンドン卿はずっと以前からダブリンの違法な団体と通じていた。Grand Orange Lodgeは秘密の看板と合言葉で、ずっとクラレンドン卿と策謀を巡らせていたのだ。奇妙に思えるかもしれないが、これは事実である……」と報じています。また、Grand Orange Lodgeは「アイルランドの政治組織と敵対する行動を取った」として、アイルランドから追放された記録も残っているそうです。


Grand Orange Lodgeはアイルランドだけではなく、世界中に支部が存在します。入会するには誓約書を提出する必要はなく、プロテスタントの原則を受け入れ、自国への忠誠を誓うだけでOK。反カトリックである義務はなく、公式サイトには「Grand Orange Lodgeは否定的ではなく、むしろ肯定的な力です」と述べています。

◆3:Independent Order of Odd Fellows
日本語だと「オッドフェローズ独立騎士団」と呼ばれるこの団体の起源ははっきりしていませんが、古い記録では1812年にイギリス王ジョージ4世 が関係しているといわれています。ジョージ4世はフリーメイソンの会員だったそうですが、正規の入会手続きを踏まずに自身の親族を入会させようとしたところ、フリーメイソン本部から断られたとのこと。そのため、自分がフリーメイソンと対立する団体を設立すると宣言して、フリーメイソンを脱会したそうです。ただし、オッドフェローズ独立騎士団の公式サイトは、1066年まで起源をさかのぼるとしています。

オッドフェローズ独立騎士団の活動目的は「個人あるいは社会の発展を促進するフレームワークを提供すること」であり、「友情、愛、真実、信仰、希望、慈善、普遍的正義の原則を促進し、人類の個性を改善し、向上させること」とされています。過去にはウィンストン・チャーチルスタンリー・ボールドウィンも会員だったとのこと。


◆4:Knights of Pythias
Knights of Pythias(ピシアス騎士団)は1864年に、ワシントンD.C.の職員だったジャスタス・H・ラスボーンによって設立された団体です。当時のアメリカは南北戦争の真っただ中で、ラスボーンは「兄弟愛を実践する組織が道徳的に必要」と考えたそうです。名称はギリシャ神話の「デイモンとピシアス」にちなんだもの。創立メンバーの全員が何らかの形で政府のために働いており、法律に基づいて設立された最初の友愛団体だとピシアス騎士団は主張しています。

なお、ピシアス騎士団のシンボルは青・黄・赤の三角形を組み合わせたもの。青は友情、黄は慈善、赤は博愛を意味しているそうです。


◆5:Ancient Order of the Foresters
Ancient Order of the Forestersは「Foresters Friendly Society」という名前でも知られる団体で、イギリスで国民保険サービスが始まる前の1834年に設立された団体で、労働者階級の会員に疾病手当を支給していたことで知られています。

1874年にアメリカとカナダの支部が本部から脱退し、独立した別のAncient Order of the Forestersを設立。このクラブへ入会するためには「クラブの会員である有能な医師が作成した試験に合格しなければならない」と定められています。このクラブは会員相手に保険契約を提供し、社会奉仕活動を行っているそうです。

◆6:Ancient Order of United Workmen
Ancient Order of United Workmenは、ペンシルベニア州のジョン・ジョーダン・アップチャーチら13人が労働者階級の待遇改善を目的に、1868年に設立した団体です。当初、Ancient Order of United Workmenは主に会員限定の保険を提供するための団体として機能しており、もし会員が死亡した場合、他の会員がその死亡した会員の家族に1ドルずつ寄付することになっていました。今は会員限定の保険サービスに加えて、慈善活動も行っているそうです。

◆7:Patriotic Order Sons of America
Patriotic Order Sons of Americaは1847年に設立された「Junior Suns of America」という団体が起源となっています。活動当初の目的は「Patriotic(愛国的)」と名前にある通り反カトリック・反移民でしたが、その後団体は一度崩壊。1868年に復活した時には逆に移民に対して無料の公教育を施すことを目的としており、移民に対するサポート組織として機能しています。

また、当初会員資格は「白人であること」という制限がありましたが、1891年には会則から白人限定の文言を削除するという提案が出されたこともあったとのこと。当時は議論の末、黒人の入会を認める議案は否決されてしまったそうですが、記事作成時点の会員資格は「自国とその制度を信じ、自由な政府を永続させ、アメリカ人の間に兄弟愛を育み、国を高めることを願う16歳以上のすべての生粋のアメリカ人男性」となっており、人種による制限は撤廃されている模様です。

◆8:Molly Maguires
1870年代にペンシルベニア州の炭鉱で24人の現場監督や管理者が暗殺されるという事件が発生しました。犯人と疑われたのは、アイルランド系移民による秘密結社「Molly Maguires」のメンバーでした。Molly Maguiresという名前の由来は、メンバーが女装して放火や殺害予告などを行っていたためと言われています。


Molly Maguiresの結成理由や目的は不明ですが、労働者階級の自助団体から、プロテスタントとカトリック、アメリカ生まれと移民、民主党と共和党といった宗教的・政治的対立を経て、一種の暴力組織に発展したのではないかといわれています。結果、Molly Maguiresは鉱業会社から依頼されたピンカートン探偵社の送りこんだスパイによって、組織崩壊。元メンバー20人は絞首刑に処され、Molly Maguiresの対抗組織だった秘密結社「The Order of the Sons of St. George」も消滅してしまったそうです。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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