メモ

シバイヌが対ロシアのアイコンとして活躍している


インターネットの投稿などに働きかけて人々の意識を変えようとするロシアの「情報戦」に対抗するために、ロシアのプロパガンダと偽情報に立ち向かう集団である北大西洋Fellas機構(NAFO)によって、日本の柴犬(しばいぬ)がウクライナの兵士や国防大臣に「雑コラ」されてアイコンになったり、グッズ化などでウクライナ向けの募金を集めたりと、対ロシアのアイコンとして活躍しています。なぜこのような柴犬のミームが用いられているのかを、政治に特化したアメリカのメディアであるPOLITICOが解説しています。

The shit-posting, Twitter-trolling, dog-deploying social media army taking on Putin one meme at a time – POLITICO
https://www.politico.eu/article/nafo-doge-shiba-russia-putin-ukraine-twitter-trolling-social-media-meme/

NAFOは2022年のロシアのウクライナ侵攻に関するロシアのプロパガンダと偽情報に対抗するため、有志のインターネットユーザーによって組織された集団です。NAFOにはアメリカ下院議員のアダム・キンジンガー氏や、元エストニア大統領のトマス・ヘンドリック氏も含まれています。NAFOのメンバーでミームやバイラルビデオを投稿するイヴァナ・ストラドナー氏は、2022年8月に「Twitterでロシアのプロパガンダや偽情報を目にしたらNAFOのハッシュタグを用いて知らせてください」と告知する文章とともに、スタイリッシュなスーツを身に纏う美しいブロンドの柴犬のコラ画像を投稿しました。

Dear Twitter,

If you see Russian propaganda and disinformation, don’t worry! Use #NAFOhelp and one of our brave information warriors #NAFOfellas will be right there to help you. #NAFO’s superpowers? Truth, humor and sophisticated memes. pic.twitter.com/TqnFvPk6dG

— Ivana Stradner ???????????????? (@ivanastradner)


このような柴犬のミームは、2013年ごろに流行した「ドージ(Doge)」というミームが元になっています。アメリカで柴犬を販売・案内するMy First Shibaの解説によると、ドージとは、英語に堪能ではない日本の柴犬と文法的に正しくない英語のキャプションなどを並べることで、柴犬のとぼけた印象が合わさってユーモアを生んでいるもの。


ドージのミームをもとにした柴犬のアイコンは、対ロシアおよびウクライナへの支持を示すマスコットとして使われています。その効果は高く評価されており、ウクライナの国防相であるオレクシー・レズニコフ氏は2022年8月31日に「NAFOの活動に個人的に敬意を表します」と述べるとともに、スーツを着てウクライナの盾と戦車を持った柴犬の画像を添付し、数日間Twitterのプロフィール写真をその柴犬の画像に変更しました。また、西側の国家安全保障当局に務める匿名の5人が、大衆文化の笑いを通した親ウクライナのインターネット活動を歓迎しているとPOLITICOに対して語りました。

My personal salute to #NAFOfellas. I’d like to thank each person behind Shiba Inu cartoon. Your donations to support our defenders, your fight VS misinformation is valuable.
I’m changing my profile picture for a few days. Cheers @marlowc2324
NAFO expansion is non-negotiatiable! pic.twitter.com/SapxtsVsS5

— Oleksii Reznikov (@oleksiireznikov)


POLITICOによると、ロシアの情報戦のインフルエンサーは、NAFOによる柴犬のミームに苦戦しているとのこと。ミームとしての拡散力に加えて、プロフィール画像を柴犬にしているTwitterアカウントにロシアのインフルエンサーが反論する場合に、「とぼけた表情の柴犬にむきになっている」というように映るため、愚かに見えてしまいます。NATO諸国と欧州連合のハイブリッド脅威対策欧州センターのヤクブ・カレンスキー氏は「偽情報に対抗するためにユーモアを採用することは素晴らしい戦略です」とNAFOの活動を評価しています。

実際に、国際機関のモスクワ大使を務めるミハイル・ウリヤノフ氏が「ロシアのウクライナ侵攻以降、アメリカは情報と誤報を操作する『真実省』を設立し、アメリカのソーシャルメディアユーザーがフェイクニュースを広めています」と批判する投稿をした際に、柴犬のミームが効果を発揮しました。ウリヤノフ氏は合わせて「ウクライナ軍がドンバス戦争の際に民間人に砲撃したことが始まりであり、ロシアはそれに対抗してウクライナに侵攻しています」と主張し、柴犬のアイコンを付けたNAFOのメンバーがそれに対し「ウクライナでは内戦が起きていますが、内戦で一部の民間人が被害を受けたことを理由に、ウクライナの全ての民間人を爆撃しなくてはなりません、とあなたは主張しています」という旨を返信。これにウリヤノフ氏が返信した「You pronounced this nonsense. Not me.(そのナンセンスな発言をしたのはあなたであり、私ではない)」という投稿が、瞬く間にミーム化してシールやマグカップなどのグッズになりました。


柴犬のミームはインターネット上のプロパガンダや偽情報への対抗だけではなく、ウクライナ兵士に資金提供することにも役立っています。シャツやタオル、マグカップなどのグッズとして販売したり、ウクライナ支援募金のお礼として柴犬アイコンを送ったりといった活動で、約40万ドル(約5600万円)が集まったとのこと。柴犬アイコンのリクエストは、多い日では1日に1000件以上にもなっているそうです。NAFOのメンバーとして柴犬アイコンを生産しているカミル氏は、「人々はロシアとウクライナの問題について強く感じる部分があるはずですが、それに関わるためお手段を持っていません。しかし、ドージを用いて仲間になることで、個人としてではなくサポートしあう団体として、NAFOは最前線で戦う軍隊のための資金調達ができます」と語っています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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