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国連がついに新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害」が行われていると報告、中国の圧力で公開に遅れ


国連のミシェル・バチェレ人権高等弁務官が2022年8月31日に、中国の新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害」が行われているとの報告書を発表しました。報告書をめぐっては、人権侵害を否定している中国による強い圧力があったとされており、8月31日のバチェレ氏退任までに報告書が公表されるかは直前まで不透明な状態でした。

UN rights office publishes Xinjiang report opposed by China - ABC News
https://abcnews.go.com/US/wireStory/deadline-looming-china-vies-block-report-xinjiang-89117931

China may have committed "crimes against humanity" in Xinjiang, UN report finds - CNN
https://edition.cnn.com/2022/08/31/asia/un-xinjiang-china-bachelet-report-intl

U.N. report on human rights in Xinjiang expected Wednesday after long delays - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/world/2022/08/31/un-china-xinjiang-report/

UN report finds "serious human rights violations" in Xinjiang
https://www.axios.com/2022/08/31/china-xinjiang-un-human-rights

国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)は8月31日の遅くに発表した(PDFファイル)報告書の中で、新疆ウイグル自治区ではテロ対策にかこつけた「大規模な拘束」が行われており、「拷問やレイプ」と「強制不妊手術」について信ぴょう性の高い証言が得られたと指摘して、こうした問題が国際犯罪、特に人道に対する罪に当たる可能性があると非難しました。

中国の西部にある新疆ウイグル自治区では、少数民族であるウイグル族やイスラム教徒の人々に対する拷問や洗脳を行うための強制収容所があることが分かっていますが、中国は「職業訓練センター」であると主張しており、新疆ウイグル自治区の人々に対する弾圧についても否定しています。

中国の強制収容所で激しい拷問や洗脳を経験したウイグル人の証言 - GIGAZINE


欧米の外交官や国連関係者の話によると、今回バチェレ氏が公開した報告書は数カ月前に完成していたとのこと。その報告書の公表が大きく遅れた背景には、中国政府からの強い圧力があったとされています。

公開の数時間前に、中国の張軍国連大使は「我々は報告書をまだ読んでいませんが、このような報告書には断固として反対しており、誰のためにもならないと考えています。いわゆる新疆問題は、政治的動機から捏造された完全な偽りであり、その目的は間違いなく中国の安定を損ない、中国の発展を妨害することにあるということを私たちはよく知っています」と述べていました。

2018年、新疆ウイグル自治区での人権問題に切り込むことを掲げて国連人権高等弁務官に就任したされたバチェレ氏は、2021年9月に「新疆ウイグル自治区における深刻な人権侵害の疑惑に関する、有用な情報の公表を視野に入れて最終的な調整を行っています」と発表。2022年5月にようやく新疆ウイグル自治区を視察しました。しかし、この訪問について「調査ではない」と位置づけたことに対しては、中国当局にプロパガンダ上の勝利をもたらしたとの批判があったとのこと。

by UN Women

それでも、バチェレ氏の新疆ウイグル自治区訪問を受けて、世界各国の人権団体が調査報告の公表を心待ちにしていましたが、バチェレ氏は8月25日にジュネーブで開かれた会見で「あらゆる方面から多大な圧力を受けています」と述べて、難しい立場にあることを明かしていました。

そのため、一時は報告書の公開が危ぶまれていましたが、バチェレ氏退任のわずか数分前に滑り込むようにして発表されました。新疆ウイグル自治区の人々の人権問題に取り組んでいる弁護士のレイハン・アサト氏は、報告書について「中国は大規模な監視ができる技術的能力を有しており、国際社会から真実を隠すことが可能です。だからこそ、この報告書は大変重要だと思います。中国政府に対して、監視の目が光っているとのメッセージを送ることができるからです」と評価しています。

しかし、専門家らはこれで新疆ウイグル自治区での人権侵害が全て白日の下にさらされたとは考えていません。ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国局長であるソフィー・リチャードソン氏は、さらなる調査が必要だと指摘した上で、「中国政府がこの5年間、人道に対する罪を犯していたという事実は明らかですが、だからといってこの5年間に起きたことについての説明責任がなくなるわけではありません」と話しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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