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人気映画の海賊版に偽装してロシア人にウクライナ戦争の真実を伝える「Torrents of Truth」


ウクライナのジャーナリストらが中心となって、ファイル転送プロトコルであるBitTorrentで違法に共有されている映画やソフトウェアに、ウクライナ戦争の実態を知らしめる映像を紛れ込ませる取り組み「Torrents of Truth」を開始しました。

.torrents of truth
https://www.torrentsoftruth.org/

Movie torrents hijacked to send tips on bypassing Russian censorship
https://www.bleepingcomputer.com/news/technology/movie-torrents-hijacked-to-send-tips-on-bypassing-russian-censorship/

'I trick Russians into watching war videos when they illegally download films online' - Daily Star
https://www.dailystar.co.uk/news/world-news/i-trick-russians-watching-war-27631610

ロシア政府は2022年3月に著作権や知的財産権の保護に関する法律を一部撤廃し、友好的ではないとされた国のコンテンツの海賊版を事実上合法化しました。また、制裁によりNetflixなどのストリーミングサービスがロシア市場から相次いで撤退しているほか、海外製ソフトウェアの購入も政府により禁止されているため、ロシア人は国外で作られた映画やソフトウェアを合法的に手に入れたくてもできない状態にあります。

ロシアで外国企業の製品がパクり放題に、特許の保護を撤廃する法令がロシアで可決される - GIGAZINE

by Harald Groven

こうした状況の中、ロシアでBitTorrentの利用が急拡大しているのを逆手にとって開始されたのが「Torrents of Truth」です。この活動でBitTorrentのネットワークに放流された21のファイルのリストを見ると、ロシア語版の「Adobe Photoshop 2022」やロシア語字幕付の映画「THE BATMAN-ザ・バットマン-」などが並んでいます。


これらはThe Pirate Bayを中心としたロシアで人気のトレントサイトで公開されおり、クライアントソフトを使うことでファイルをダウンロードできるようになっています。


首尾よく最新の人気映画を手に入れたユーザーがファイルを再生すると、映画「THE BATMAN-ザ・バットマン-」が始まります。


と思いきや、映画はすぐに「Torrents of Truth」の発起人であるジャーナリストのVolodymyr Biriukov氏が「これは、あなたが期待していたものではありません。しかし、あなたが見るべき真実です」と呼びかける映像に切り替わります。


続く映像では、ロシア政府が「解放のための介入」と位置づけている軍事侵攻がウクライナでそのような結果をもたらしているのかを示す、生々しい光景が映し出されます。


「Torrents of Truth」によると、ロシア人の約43%が映画やテレビ番組を違法に入手しており、この活動の潜在的なターゲットは約6200万人にも及ぶとのこと。

Biriukov氏はイギリスの日刊タブロイド紙・Daily Starに対して「私は今、私の国の人々に何が起きているのか、地球の隅々にまで真実を広めることを決意しています。そして、『Torrents of Truth』がその一助となるだろうと、楽観的に考えています。フィルターを通さない完全な事実をみんなに見てもらう必要があるのです」とコメントしました。

また、IT系ニュースサイトのBleepingComputerは「その目的がいかに崇高に見えても、海賊版コンテンツを共有するP2Pネットワークに参加することが著作権法に違反していることには変わりないので、参加しないよう忠告します。もし法律を守りながらこのプロジェクトに協力したいのであれば、『Torrents of Truth』の映像とテキストファイルだけを選択してダウンロードし、共有することができます」と述べました。

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in ソフトウェア,   ネットサービス,   映画, Posted by log1l_ks

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