「長寿者が多い地域でも肉をたくさん食べる」との指摘がネット上で論争に


健康で長寿な人々が多く住む「ブルーゾーン」に関する論文をテーマにしたソーシャルニュースサイトのスレッドで、「健康な地域の食生活は野菜中心だといわれているが、実際にはたくさん肉を食べている」との意見が投稿され、多くの反響が寄せられる議論に発展しました。

Blue Zones - PMC
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6125071/

Blue Zones, where people reach age 100 at 10 times greater rates | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=32143344

アメリカの著名なテレビ番組・ナショナル・ジオグラフィックの研究者でベストセラー作家のダン・ベットナー氏は、2016年に発表した論文「Blue Zones」の中で、100歳以上の人が多く住んでいる地域の暮らしには9つの共通点があることを指摘しました。日本の沖縄やイタリアのサルデーニャを含む5つの地域のライフスタイルに共通する「パワー9」については、以下の記事の末尾にまとめられています。

実は世界で一番健康な人たちはスポーツジムなど通っていない - GIGAZINE

by Jeffrey Zeldman

「パワー9」の1つに、植物が中心の食生活があります。特にそら豆・黒豆・大豆・レンズ豆などの豆類は100歳まで生きる人の食事のベースになっており、それに対して肉類は平均して月に5回しか食べられていないとのこと。例えば、当時世界最高齢の男性が住んでいたサルデーニャの伝統的な食事は全粒粉のパン、豆、庭で採れた野菜、果物で構成されており、肉は日曜日か特別な日にしか食卓に上らないとされています。

この論文は、ソーシャルニュースサイト・Hacker Newsでも取り上げられて、2022年7月18日のスレッド作成から記事作成時点までに389件ものコメントが寄せられました。


そして、それらの意見の中で最も多くの反響を呼んだのがcodeflow2202氏というユーザーのコメントです。同氏は投稿の中で、前述のサルデーニャの食事について、「サルデーニャのことを語る人は、住民の食生活はほぼベジタリアンだと言い続けています。しかし、真実は『サルデーニャの人々は多くの動物性タンパク質と脂肪を食べている』というものです。イタリア語が分からない人には伝わりにくいかもしれませんが、この地域の人々がインタビューされると、口をそろえてベジタリアンではなかったと言います」と述べました。

codeflow2202氏が根拠として示した画像が以下。サルデーニャでも特に長寿な人が多い羊飼いの人々が摂取するタンパク質のうち、動物性タンパク質は29.3%で、左の農民の19.5%より多いことが示されています。同様に、脂肪も動物由来の脂肪が農民より多くなっていました。羊飼いは羊を放牧している人なので、農業従事者より羊の乳や肉を口にする機会が多いことは容易に想像できます。


また以下の映像でも、102歳の男性の「野菜は体に悪い。私は羊の肉ばかり食べていた」との言葉が取り上げられているそうです。

The secret of Sardinian centenarians | Raffaele Sestu | TEDxViaTirso - YouTube


「植物性の食品が中心の食生活を送っているとされるサルデーニャの羊飼いは、実は肉を多く食べている」との指摘には多くのコメントが寄せられました。

例えばあるユーザーは、「肉は体に悪いというプロパガンダがあります。野菜や果物、そして肉や魚も含む多様な食事が、それらを避けるより健康的だということは何千年も前から知られています。しかし、人口が増えて肉が食べられなくなると、どういうわけか突然それが不健康ということになります」と投稿して、肉を食べるのは健康的であるとの考えを支持しました。

一方別のユーザーは、「ギリシャには肉やチーズを大量に消費しているにもかかわらず平均寿命が高い地域がいくつかあり、その後の調査でその村人たちはLDLコレステロールを細胞に取り込むLDL受容体の働きを大きく低下させる遺伝子を持っていることが分かりました。つまり、この地域の人々は何世紀にもわたって同じ食事をしてきたので、それに適応できない人はいなくなってしまったとの説が成り立ちます。ですから、サルデーニャの人がマトンだけを食べて102歳まで生きられるとしても、カリフォルニアの人々に同じ食事をさせて同じ結果が得られるとは限りません」と投稿して、肉だけで長生きできるのはあくまでサルデーニャの人だけではないかと反論しています。


また、実際にサルデーニャで生活した経験がある複数のユーザーからは、「サルデーニャの人はアメリカ人に比べていい肉を少量食べている」との意見や、「肉の消費よりライフスタイル、あるいは空気や水の質といったストレス要因の方が大きいのではないでしょうか」との意見も投稿されていました。

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in , Posted by log1l_ks

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