ロシアがGoogleに約500億円の罰金を科す、「YouTubeから違法な動画コンテンツを削除しなかった」かどで

ロシアの通信規制当局である連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁(Roskomnadzor)が、Googleに約211億ルーブル(約505億円)の罰金を科すと発表しました。Roskomnadzorは、YouTubeが「過激主義とテロリズムを助長する動画」や「ウクライナでの戦争に関する誤った情報を含む禁止されたコンテンツ」などを削除する命令に従わなかったとしています。

Роскомнадзор - Google оштрафован за повторное неудаление запрещенной информации
https://rkn.gov.ru/news/rsoc/news74400.htm

Russia fines Google $370 million for repeated content violations, regulator says | Reuters
https://www.reuters.com/technology/google-is-fined-390-mln-russia-not-deleting-banned-content-interfax-2022-07-18/

Roskomnadzorは2022年3月に、ロシア政府が違法と定めた動画がYouTubeから削除されていないため、Googleに対して最大で800万ルーブルの罰金を科す可能性があると発表しました。また、命令無視を続ける場合、罰金を最大でGoogleの年間収益の20％に相当する金額にまで引き上げるとRoskomnadzorは述べています。

ロシアがGoogleに年間収益の最大20％を罰金として科すと警告、「違法なYouTube動画を削除しなかった」として - GIGAZINE

Roskomnadzorは、YouTubeが「ロシア連邦軍の信頼を傷付ける、ウクライナでの特別軍事作戦の経緯についてのウソ」「過激主義とテロリズムを助長するコンテンツ」「未成年者の生活と健康に対する無関心な態度を助長するコンテンツ」「未成年者を含む人々を、許可されていない集団行動に参加するように訴えるコンテンツ」へのアクセスを制限しなかったと指摘。タガンスキー地方裁判所がGoogleのロシアにおける年間売上高に基づいて、210億7739万2117.8ルーブル(約504億5300万円)の罰金を科す判決を下したと発表しました。

Roskomnadzorは同時に、Googleの法律違反をロシア国内のインターネットユーザーに通知し、Googleが関わる広告を配布することを禁止する措置を講じると述べています。

ロシアの情報政策に関する議会委員会の副委員長であるアントン・ゴレルキン氏は「Googleは明らかにロシアの法律を無視しています。この態度が何につながるかを予測するのは難しくありません。Googleはロシア市場を完全に失うリスクがあります」とコメントしました。

ロシアは2021年12月にもGoogleに対して、禁止されたコンテンツの削除に失敗したとして、Googleに年間収益の約8％に当たる72億ルーブル(当時のレートで約100億円)の罰金を科しています。ロシアとの関係悪化とウクライナ侵攻への制裁から、Googleは2022年5月にロシアでの事業を閉鎖する計画を発表しており、Googleのロシア法人であるGoogle Russiaは破産を申請しています。そのため、政府当局がGoogleロシア法人の資産を押収してその機能を維持させることは不可能だとGoogleは述べています。

なお、今回科された罰金を支払うかどうかについて、Googleはコメントを発表していません。