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匿名で会社の痛烈批判レビューを投稿した人物の情報を開示する判決が下される


従業員が匿名で会社のレビューを投稿できるネットサービス「Glassdoor」に対し、辞めた職場を痛烈に批判した元従業員の情報開示を求める判決が下りました。

Anonymous Review Site Glassdoor Not Anonymous?
https://www.webworm.co/p/glassdoor

Kiwi toy giant Zuru wants to identify and sue former workers | Stuff.co.nz
https://www.stuff.co.nz/national/300520880/kiwi-toy-giant-zuru-wants-to-identify-and-sue-former-workers

ニュージーランドの玩具メーカーであるZuruが職場環境や経営陣に対する痛烈な批判をGlassdoorに書き込んだ投稿者の情報を開示するよう求めていた裁判で、カリフォルニア州の裁判所がZuruに有利な判決を下し、Glassdoorへ情報を開示するよう命じました。これによりGlassdoorは投稿者の情報をZuruの弁護士を通じて直接Zuruに公開することが法的に義務づけられます。判事によると、Zuruは投稿者を名誉毀損(きそん)で訴えるつもりだとのことです。


Glassdoorは2018年にリクルートホールディングスにより買収されたレビューサイトで、従業員や元従業員が勤め先を匿名でレビューできるサービスを展開し、多くのユーザーを獲得してきました。

Glassdoorはユーザーが雇用主の脅迫や報復を恐れることがないよう、表現の自由を定めたアメリカ合衆国憲法修正第1条に基づき匿名性を保護する対策を講じており、これまでにも企業からの数々の訴訟を退けたことをアピールしています。しかしGlassdoorはただし書きとして「匿名の言論は米国憲法や州憲法、さまざまな国際法の下で保護を享受していますが、絶対的な権利ではないことを理解しておいてください」と記載しており、特定の条件下においては情報開示もあり得ることを示唆していました。

今回の訴訟でもGlassdoorは情報開示を拒否する姿勢を見せていたのですが、投稿者がニュージーランド在住であることがネックとなったようです。


Glassdoorは主に2つの理由から、Zuruの名誉毀損の請求にはメリットがないと主張していました。1つはレビューが「意見」であり、レビューには中傷的な記述は含まれていないこと、そしてもう1つはZuruが金銭的損失を被ったことを証明できなかったことです。

Glassdoorの主張は前述の通り憲法修正第1条に基づいており、アメリカでは「純粋な意見」の発言は保護されています。しかし、ニュージーランドではそうではありませんでした。

憲法修正第1条の代わりニュージーランドには「honest-opinion defense」という法律があるとのことですが、この法律の下ではGlassdoorのレビューが「意見」であるかどうかについて、レビュアーの正直な感想を反映しているかどうかが問題となるそう。問題のレビューが投稿者の正直な感想だったかどうかは現時点で分かるはずもなく、Glassdoorが主張する「レビューは単なる意見なので開示を拒否する」という主張は通らなかったとのことです。

なお、Zuruはレビューによる金銭的損失について「ネガティブレビューのせいで、Zuruは特定のポジションの求職者を募集するためにもっとお金を使わなければならなかった」と主張していました。

裁判官はこれらZuruの主張を全面的に認め、Glassdoorに投稿者の情報を開示するよう命じました。


Glassdoorの広報担当者は「我々はニュージーランドの法律に基づいて事実上決定された裁判所の判決に深く失望しています。このケースや他の多くの世界的なケースにおいて、Glassdoorは脅迫や報復を恐れることなく、ユーザーが自分の意見を共有し、職場体験について自由かつ誠実に話す権利を保護し守るために精力的に闘っています」と述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1p_kr

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