メモ

1000年前に作られた金貨に禁断の「超新星爆発」が記録されていた可能性


大質量の恒星や白色矮星(わいせい)が自らの重力でつぶれて大爆発を起こす「超新星爆発」はとほうもない量のエネルギーを一気に放出するため、規模によっては何万光年離れた地球からでも肉眼で数日間確認可能で、昼間でも観察できることもあります。そんな超新星爆発は歴史の記録に残っていることが多く、およそ1000年前に作られた金貨にも超新星爆発が記録されていたという研究が、多国籍の研究チームによって発表されています。

[2206.00392] European historical evidence of the supernova of AD 1054 coins of Constantine IX and SN 1054
https://doi.org/10.48550/arXiv.2206.00392

Do ancient coins record the supernova of 1054?
https://phys.org/news/2022-06-ancient-coins-supernova.html

超新星爆発の記録が見つかっているのは日本や中国、イスラム教国など、古来から占術で星の観察を積極的に行っている文化を持つ国や地域が多かったものの、ヨーロッパで広く信仰されていたキリスト教の文献にはほとんど残っていないとのこと。その理由の一つとして、キリスト教は「神の作った宇宙は完璧で不可侵なものである」と考えており、超新星爆発のような大きな変化を指摘することは背教行為だと考えられたからだと、科学系ニュースメディアのPhys.orgは説明しています。

しかし、キリスト教の影響が強い中世ヨーロッパの学術界とは別のところで超新星爆発の記録が残っていることがあり、貨幣のデザインもその1つです。今回の論文で取り扱われたのは、ビザンツ帝国の皇帝コンスタンティノス9世モノマコス治世中の1054年~1055年に鋳造されたと考えられている金貨「コンスタンティノス9世モノマコスIV金貨」です。


この金貨にはコンスタンティノス9世モノマコスの肖像がありますが、その頭の左右に2つの星が配置されています。実は1054年に超新星爆発が起こったことが中国の文献より明らかになっており、当時夜であれば誰でも肉眼ではっきりと観測できる規模だったことがわかっています。研究チームは、太陽はコンスタンティノス9世モノマコスの頭の真後ろに描かれており、金貨に描かれた2つの星のうちの1つは明けの明星である金星、そしてもう1つの星がこの1054年の超新星爆発を示していると主張しています。


コンスタンティノス9世モノマコスIV金貨は世界に36枚存在しており、そのどれにも2つの星が描かれているとのことですが、1つの星のサイズがコインによって異なるとのこと。研究チームは、この星のサイズの変化は超新星爆発の減光を反映している可能性があると指摘しています。


ただし、研究チームは金貨が鋳造された具体的な月日がわからず、より具体的な物証が存在しないため、金貨のデザインに超新星爆発が採用されていたというのはあくまでも仮説にすぎないと述べています。Phys.orgは「ロマンティックに考えれば、当時非常に大きなリスクがあったにもかかわらず、貨幣鋳造の際に超新星爆発の記録をこっそりデザインに採用し、その意図がついに1000年後に研究者によって明らかになったというわけです。事実であるかは示されていなくても、そうしたストーリーを確かに評価できます」とコメントしました。

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in メモ,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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