レビュー

カメラで顔を写すだけで魅力度や寿命を予測してくれる「How normal am I?」


近年ではビジネスや娯楽などさまざまな分野にAIを用いた顔認識システムが浸透していますが、一体どのように顔認識システムが動作しているのか実感するのは難しいものです。AIやビッグデータに関する倫理・人権の研究を行うProject SherpaのメンバーであるTijmen Schep氏は、そんな顔認識アルゴリズムの動作を誰もが体験できるように、魅力・年齢・BMI・寿命・性別などを予測する「How normal am I?」というウェブサイトを作成しました。

How normal am I?
https://www.hownormalami.eu/

How Normal Am I? – Tijmen Schep
https://www.tijmenschep.com/how-normal-am-i/

“How Normal Am I?” nominated for best .eu website of the year – Project Sherpa
https://www.project-sherpa.eu/how-normal-am-i-nominated-for-best-eu-website-of-the-year/

Project Sherpaは欧州連合(EU)の資金提供を受けて、AIやビッグデータ分析が倫理や人権にもたらす影響を研究するコンソーシアムであり、「How normal am I?」もEUの助成金で作成されたとのこと。「How normal am I?」は実際に顔認識アルゴリズムを使った魅力度・年齢・BMIの予測を体験し、関心を高めることを目的に作られています。


以下では実際に「How normal am I?」を試してみた様子をレビューしますが、先入観なしでトライしたい人は記事を読む前にやってみるのがオススメです。

「How normal am I?」のトップページにアクセスすると、「Experience how "artificial intelligence" judges your face(『人工知能』があなたの顔をどのように判断するのか体験してください)」「Access to your camera is necessary, but no personal data is collected.(カメラへのアクセスは必要ですが、個人データは収集されません)」と記されていました。


まずは利用規約を読もうと「terms and conditions」をクリックすると……


利用規約を読もうとしたこと自体を褒めてくれました。「How normal am I?」ではいかなる個人データもサーバーに送信されず、顔認識アルゴリズムはコンピューターのブラウザ内で実行されるとのこと。また、匿名化されたデータは「How normal am I?」の平均集計に使われるものの、それ以上の匿名化データは共有されないと説明しています。


利用規約を読んだら「START THE SHOW」をクリック。


すると、画面の左下にSchep氏がデータを収集しないことを説明する映像が表示され、カメラへのアクセスを求めてきます。「許可」をクリックすると……


左上にカメラが撮影している映像が表示され、顔認識アルゴリズムのローディングが始まります。右側にはなぜかイヌの画像が表示されています。


やがて顔認識アルゴリズムが起動すると、右上に「利用規約を読んだ人の割合」が表示されました。データによると実に95%の人が「No」だそうで、ちゃんと読んだ編集部員は5%の側だったことがわかります。また、その下の画面では何歳なのか尋ねられていたので、最も近い「30」をクリック。答えたくない場合は何もクリックしなければOKです。


これまでに「How normal am I?」を利用したユーザーのうち、年齢を共有したのは78%だったとのこと。このように、さまざまな項目について自分の選択や評価と「平均的な回答や評価」が合わせて表示されるので、「自分がどれほどノーマルなのか?」を知ることができます。


その後、顔の魅力度が「0~10」の範囲で評価されます。表示されるスコアは最大値とのことで測定中にも時々変動するため、つい顔の角度を動かしていいスコアを狙いたくなります。なお、顔の魅力度やその他の項目を評価する機械学習アルゴリズムのほとんどは、GitHubで見つかった「事前学習済み」のものを流用しているとのこと。


続いて年齢の測定に入りますが、今回表示された予測される最低の年齢は「30」となっており、テストした編集部員の実年齢をやや上回るという結果に。Schep氏によると、年齢予測などに用いているFaceApi.JSというアルゴリズムは「アジア人」の検出が苦手だそうです。


性別は「男性」と正しく識別されました。


続いて顔認識に基づいたBMI予測がスタートし、測定中は「25~30」の間をウロウロしていました。ところが、実際の編集部員のBMIは「19~20」程度であり、この予測は大きく外れたことになります。


また、BMIや年齢などを基にして算出された寿命は「81歳」となりました。こうした寿命予測は保険業界の一部で導入されているそうです。


「顔のデジタルフィンガープリント」として、顔の各部を数値化したものも表示されました。


さらに、最初に見せられていたイヌの画像は「体験者がイヌに抱いた感情」を予測するために表示されていたとことも明らかにされました。イヌが表示されている時の編集部員は「sad(悲しみ)」の表情を浮かべていたそうですが、本人に自覚はありませんでした。


今回の評価中、マウスカーソルがどこに動いたのかのデータまで収集されていた模様。「あなたは他のタブに10回切り替えました。気が散りやすいのでしょうか?」と指摘されてしまいました。


匿名化したデータを「How normal am I?」の計算に入れていいかどうか聞かれるので、許可する場合は「OK」を、拒否する場合は「NO」をクリック。


これで「How normal am I?」の分析がすべて完了。最後に、「あなたは83%ノーマルです。暴力的なまでに普通でした」という結果が示されました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
AIの生成した顔は本物の顔と区別がつかず本物の顔より信頼性が高い - GIGAZINE

顔認証の40%以上をたった9つの顔で突破するマスターキーならぬ「マスターフェイス」を作るAIが登場 - GIGAZINE

ただの花の絵をオバマ元大統領の顔だと誤認させる画像認識AIへの新しい攻撃方法「TnT」 - GIGAZINE

Microsoftが「感情を読み取る」と物議を醸した顔認証ツールを廃止 - GIGAZINE

AIが人間の表情から感情を読み取る「感情検出技術」はなぜ危険視されているのか? - GIGAZINE

「感情認識AI」の危険性を専門家が警告、一体何が問題なのか? - GIGAZINE

in レビュー,   ソフトウェア,   ネットサービス,   サイエンス, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.