生き物

ジャイアントパンダの「第6の指」は納得の理由で進化してきたという指摘


愛くるしい見た目で人々を癒やすジャイアントパンダ。その指の数は多くのほ乳類と同じく前肢・後肢ともに5本ですが、前肢にはコブのような出っ張りがあり、指と合わせることで竹をつかむような使い方ができるそうです。この「第6の指」が進化のどの過程で生まれたのかは長年の謎なのですが、新たな化石が発見されたことにより、独特の形状の謎が解き明かされつつあります。

Earliest giant panda false thumb suggests conflicting demands for locomotion and feeding | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-022-13402-y

Pandas gave bamboo the thumbs up at least six million years ago
https://phys.org/news/2022-06-pandas-gave-bamboo-thumbs-million.html

Who’s Got Two Pseudothumbs and Loves Bamboo? This Panda Bear. - The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/06/30/science/panda-thumb.html

2015年頃、古生物学者のXiaoming Wang氏らが、中国南西部の鉱山で古代の熊の化石を発見しました。調査の結果、この化石は700万年前から600万年前頃に生息していたと考えられるジャイアントパンダの祖先「Ailurarctos」のものである可能性が浮上しました。

Ailurarctosのものと考えられる化石にも第6の指が存在していたのですが、現代のジャイアントパンダのそれよりも明らかに大きく、真っ直ぐに伸びていたそうです。そこでWang氏らが疑問に思ったのは「なぜこの指はもっと複雑に進化しなかったのか」ということ。大きく長い指を曲げやすく進化する方が理にかなっているはずだと考えたのです。


この謎に対し、Wang氏らは「ジャイアントパンダの歩き方に理由がある」という1つの仮説を打ち立てました。よく知られているようにジャイアントパンダは四足歩行をしており、常に第6の指を踏むような歩き方になってしまっています。もし第6の指が大きくなりすぎてしまった場合、歩くたびに足の裏を痛めてしまうことにつながりかねません。ただし一方で「物をつかむ」という動作のために第6の指は残る必要がありました。このため第6の指は大きく進化することはなく、反対に今のような小さな突起に落ち着いたと考えられるとのこと。

Wang氏は「竹の茎をしっかり持って食べることは、おそらく大量の竹を消費するための最適な方法だったのでしょう。ジャイアントパンダは長年かけて、邪魔になるほど大きくなく、役に立つような強度の指を維持してきたのです」と話しました。

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in 生き物, Posted by log1p_kr

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