サイエンス

絶滅種「メガロドン」は太古の海の頂点に君臨する最強の生物だったことが分析により明らかに


約2300万年前から360万年前にかけて生息していたとされる既に絶滅してしまったサメ「メガロドン」の歯を分析した新しい調査結果が報告され、当時のメガロドンは捕食者の中でもトップに君臨していたことが明らかになっています。

Cenozoic megatooth sharks occupied extremely high trophic positions
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abl6529

New Analysis of Fearsome Teeth Confirms Megalodons Were 'Highest Level' Apex Predators
https://www.sciencealert.com/megalodons-were-apex-predators-at-the-highest-level

サメの骨格は軟骨から作られているため、サメの一種であるメガロドンも体の化石は見つかっていません。しかし、サメの歯は化石として残るため、絶滅してしまったメガロドンも発見されている歯の化石から姿かたちが推測されています。


アメリカやイギリスの研究チームは、「窒素15が体内に蓄積されている生物は、食物連鎖の上位に位置する生物である」ということに着目。メガロドンの歯のエナメル質から窒素同位体を測定した上で、現代の海洋動物から得られた窒素測定値を用い、メガロドンが「海洋生物の食物連鎖のどの位置にいたのか?」を包括的に評価しました。

分析の結果、メガロドンの歯からは高レベルの窒素15が検出され、当時の食物連鎖の最上位に位置していたことが判明しました。

分析に使用されたメガロドンの歯のひとつ


海洋生物の食物連鎖には植物性プランクトンのような微小生物が含まれるため、食物連鎖は陸上生物のそれよりも広範囲におよぶそうです。メガロドンの歯を分析した研究チームは、古代の海洋生物の食物連鎖には、今では存在しないより上位の栄養段階が存在しており、ここにメガロドンが位置していたと主張しています。研究に携わったプリンストン大学の地球科学者であるダニー・シグマン氏は、「メガロドンが現代の海に生息していたなら、現代の海洋環境と人間の相互作用は全く違ったものになっていたでしょう」と述べました。

研究に参加したイギリスのケンブリッジ大学の生物地球科学者であるエマ・カスト氏は、「我々はシロナガスクジラやジンベエザメ、さらにはゾウやジプロドカスなどの現代の地球に生息する最大の種を、捕食者ではなくろ過摂食動物や草食動物であると考えることに慣れています。しかし、メガロドンやメガトゥースシャークは、既存の捕食者に位置するような動物を食べるより栄養段階が上の巨大肉食動物です」と語っています。

研究チームはメガロドンを含むメガトゥースシャークについて「望むものなら何でも食べられたでしょう」と推測しており、現代の海洋生物の食物連鎖の頂点に位置するような生物であっても、メガロドンには抗えなかったとしています。なぜそのような絶対捕食者のメガロドンが絶滅したのかについて、研究チームは「おそらく別種のサメが最終的にメガロドンを打ち負かすことに成功したのでしょう」と推測しています。

なお、研究チームはメガロドンの歯の分析に使用したカスタムメイドの亜酸化窒素抽出システムを利用して、海洋生物以外にも哺乳類や恐竜の歯を分析することを計画しています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by logu_ii

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