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PS5やXbox Series Xなどの品不足を引き起こす転売屋の間で広まる「AIOボット」とは?


PlayStation 5(PS5)やXbox Series Xのようなゲーム機、ハイエンドのグラフィックボード、プラモデルやフィギュアなどのホビー商品、新作のスニーカーやブランド商品などは、市場に十分に出回らずに品薄状態が続くことがよくあります。この品薄状態の一因として、それらの商品を手当たり次第に買い集め、定価よりも高い価格を付けて売りさばく転売屋の存在が指摘されています。IT系ニュースサイトのThe Vergeが、一連の問題は転売屋の存在そのものではなく、転売屋に「AIOボット」を売りつける開発者たちであると指摘しています。

Buying bots are scooping up PS5s and Xboxes before you can - The Verge
https://www.theverge.com/2022/5/25/23137789/aio-buying-bots-ps5-xbox-series-x-console-shortage

ドイツ人起業家のFuatは「Dakoza」を提供するサービス企業を立ち上げました。DakozaはAIOボット、すなわちスニーカーやグラフィックボード、ゲーム機などを一括購入(All-in-One)できるボットサービスです。人力だと果てしない手間と時間がかかる部分をボットが代行するので、DakozaのようなAIOボットは転売屋にとってなくてはならないツールとになっているそうです。


Dakozaは300ドル(約3万9000円)の初期費用と毎月50ドル(約6500円)を支払うだけで利用可能。Amazonやウォルマート、ベストバイといったeコマースサイトに最適化されているので、Dakozaを使えば目的のeコマースサイトに在庫が追加された瞬間に自動的に大量購入できる仕組みとなっています。

Dakozaの共同設立者でエンジニアのAnton氏はThe Vergeに対してDakozaの技術的な仕組みを開示しませんでしたが、The Vergeによれば同様のボットは各種eコマースサイトのサーバーに、ブラウザを介さずに直接リクエストを送信することで購入やログイン・ログアウトを行っているとのこと。ブラウザによる遅延が排除されるので、人間による操作よりもはるかに爆速で購入処理が完了するというわけです。


もちろんDakozaは単に購入処理を実行するボットを提供するだけではありません。他のボットカルテルと同様に、Dakozaは人間のモデレーターで構成されるチームによって、小売店の入荷情報を常にユーザーに通知し、珍しいスニーカーや新しいゲーム機などの人気商品が在庫に追加された瞬間にボットを起動できるサポートも行っているとのこと。Anton氏は「我々は基本的に、ユーザーがいつDakozaを実行するべきかをお知らせすることが可能です」と述べました

Dakoza Success」というTwitterアカウントでは、Dakozaを使ったユーザーがグラフィックボードやゲーム機を大量購入するのに成功したケースを誇らしげに紹介しています。

Success by YouTubeisDad: On my way to the bulk buyer pic.twitter.com/DFhS9iFozt

— dakozasuccess (@dakozasuccess)


Fuat氏は「金融の自由はアメリカが、そしてすべての国が掲げるものです。転売屋だけではなく、消費者も金融の自由を求めています。ユーザーからDMで『欲しいものを購入する機会を与えてくれてありがとう』と言われることもあります。私たちが人々に与える影響は決してネガティブなものではなく、間違いなくポジティブなものです。Dakozaで人生を変えることができるんです」と、The Vergeに語りました。

Dakozaと同じようなAIOボットを提供する企業は多数存在していますが、いずれの企業も記事作成時点ではAIOボットを新たに提供していないとのこと。こうしたAIOボットを利用できるのは、幸運にも権利を得ることができたごく一部の限られた転売屋のみ。


しかし、AIOボットがあれば、転売屋の仕事が楽になるのは事実。そのため、何も分からないまま転売屋になろうとする新参者にAIOボットを売りつけようとする新興企業が、雨後のたけのこのごとく現れているそうです。

大量のPS5を売りさばいているというカナダ在住・18歳の転売屋であるマシュー・ミリック氏は「誰でもAIOボットを導入すれば、すぐに巨額の収益を挙げられるという考えは幻想だと思います。すでにAIOボット業界は怪しい新興企業で飽和状態になっていて、それぞれの企業は自分たちのAIOボットの性能を過剰に宣伝しています。安定したパフォーマンスを発揮するボットはそのうちおそらく2つか3つで、それ意外は買ってもお金の無駄です。こうしたAIOボットは、いまや業界を知らない新参向けのものです」とコメントしています。

スニーカーのAIOボットであるHayhaの設立者はThe Vergeに対して「転売屋はマクドナルドで時給13ドル(約1600円)で働く代わりに、スニーカーを買って200ドル(約2万6000円)を稼ごうとしているのです」とコメントしています。


The Vergeは「転売屋も、AIOボットの開発者も、どちらも同じ歯車なのです。副業を趣味としているのではなく、生き残るための必要条件として、利用可能な商品を奪い合う激しい競争に身を投じているのです」と述べています。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1i_yk

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