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「ユーザーにとって有害」とGoogleのAMPを見なしたBraveがAMP自動回避機能を搭載


Googleはウェブページの表示高速化をうたうフレームワーク「AMP」を提供しており、AMP採用ウェブページを検索結果の上位に表示する施策2021年まで実施していました。Googleが注力を続けるAMPですが、広告ブロック機能搭載ウェブブラウザ「Brave」は、AMPには「プライバシー」「セキュリティ」「パフォーマンス」において問題があると述べ、自動的にAMPページを回避してオリジナルページを表示する機能「De-AMP」を発表しました。

De-AMP: Cutting Out Google and Enhancing Privacy | Brave Browser
https://brave.com/privacy-updates/18-de-amp/

AMPはGoogleが2015年に発表したウェブページ表示高速化フレームワークで、AMPに対応したページはページ読み込みの高速化が可能とされていました。しかし、AMPには「AMP採用ページを開くと、ブラウザのアドレスバーにGoogleのURLが表示されてフィッシング詐欺などと誤解する人もいる」「ページのレイアウトがオリジナルページと異なってしまう」といった問題が存在しており、GoogleのAMP対応にしたらコンバージョン率が70%減少したという事例が報告されるなどウェブサイトの管理者からは不満が寄せられていました。


上記の問題点は主にウェブサイトの管理者に影響するものですが、BraveはAMPがウェブサイトを訪れるユーザーにも悪影響を及ぼすと主張し、主要な問題点として以下の4つを挙げています。

・プライバシーの軽視
AMPを採用したページでは、通常のページよりも多くの情報がGoogleに送信されます。このため、ユーザーが表示したページや操作内容など通常より広範囲の情報をGoogleに収集されてしまいます。

・セキュリティリスクの増加
AMP採用ページを訪れるユーザーは、そのウェブページがウェブサイト管理者の管理下にあると考えています。しかし、実際にはAMP採用ページはGoogleの管理下にあり、上記のようにGoogleによって情報を収集されています。このようなウェブページの管理者を誤解さえるような仕組みは、ユーザーを混乱させます。

・Googleによる独占
GoogleはAMP採用ページを検索結果の上位に表示することで、ウェブサイトの管理者に対してAMPを採用するように圧力をかけていました。これにより多くのウェブサイトがAMPに対応しています。多くのウェブサイトがAMPに対応することでGoogleは「Googleの広告システムに利益をもたらす仕組みの導入」を要求可能となり、ウェブにおけるGoogleの独占状態を強化できてしまいます。

・低いパフォーマンス
GoogleはAMPに対応することでウェブページの表示を高速化できるとアピールしています。しかし、Google社員は「AMPはパフォーマンスの中央値を改善するだけであり、顧客が使っていた速度最適化手法よりも読み込み時間が遅い」ということを認めています。

多くの問題を抱えたAMPについてBraveは「AMPはユーザーとウェブ全体にとって有害です」と語り、AMP対応ページを自動回避してオリジナルページを表示する機能「De-AMP」を開発したことを発表しました。記事作成時点では、「De-AMP」はBraveのBeta版Nightly版で利用可能となっており、バージョン1.38から正式版Braveでもデフォルトで有効化されるとのことです。また、「De-AMP」はデスクトップ版とAndroid版のBraveに最初に搭載され、その後iOS版にも搭載予定とされています。

なお、Googleは2020年5月19日に「AMP優遇を取りやめ、ウェブページの読み込み速度・応答性・視覚的安定性といった、ウェブページを開くユーザーのエクスペリエンスに関する要素を定量化したCore Web Vitals(CWV)を使用する」と発表しています。しかし、Braveは「Googleは、CWVスコアの決定方法と優先配置に使用される基準を引き続き制御しています」「AMPを使用すると十分なCWVスコアが保証されるようです」と述べ、GoogleによるAMP優遇が2022年時点でも続いていると指摘しています。

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in ソフトウェア, Posted by log1o_hf

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