メモ

虹彩データをスキャンする代わりに仮想通貨を発行する「Worldcoin」が貧しい人々に何の説明もなくスキャンしていたという報道


人々に虹彩データを提供してもらう代わりに仮想通貨のトークンを発行する事業を開始したスタートアップ「Worldcoin」について、虹彩データを提供した人々の間から「6カ月たってもトークンに価値がないままだ」との非難の声が噴出しています。

Sam Altman’s Worldcoin Promised Them Free Crypto For An Eyeball Scan. Now They Feel Robbed.
https://www.buzzfeednews.com/article/richardnieva/worldcoin-crypto-eyeball-scanning-orb-problems

Deception, Exploited Workers, and Cash Handouts: How Worldcoin Recruited Its First Half a Million Test Users - Slashdot
https://yro.slashdot.org/story/22/04/06/173257/deception-exploited-workers-and-cash-handouts-how-worldcoin-recruited-its-first-half-a-million-test-users

People who donated their eyeballs to Worldcoin feel cheated
https://protos.com/people-who-donated-their-eyeballs-to-worldcoin-feel-cheated/

Worldcoinは、スタートアップへ投資を行う企業「Y Combinator」の共同設立者で、AI研究組織「OpenAI」のCEOも務める起業家のサム・アルトマン氏が立ち上げた企業です。Worldcoinは虹彩をスキャンして生体データからハッシュを生成し、このハッシュと引き換えに仮想通貨「Worldcoin」を提供するというシステム「Orb」を作り上げ、実際に多くの人々から虹彩データを収集していました。

Worldcoinは「虹彩データはスキャンしてハッシュを生成したあとその場で削除し、ハッシュと個人とは紐付けられないようにしている」と述べて安全性を強調しています。

しかし、Worldcoinはすでに50万人もの虹彩データをスキャンしたにもかかわらず、仮想通貨の発行を一切行えていない状態であると伝えられています。同社は「通貨の発行に予想以上に時間がかかっているので、2022年後半を目標にしています」と述べており、これに対しては目標が漠然としているという批判があるとのこと。


いつまでたっても通貨をもらえないという事態に際し、虹彩データを提供した人々からは不満の声が続出しています。立ち上げ初期にデータを提供した人は「当初20ドル(約2500円)相当のトークンが2年以内に発行されることが約束されており、さらに10%は前払いされる予定だった」と主張していますが、6カ月たった時点で通貨が発行されていないため、所持しているトークンは無価値なままです。

インドネシアで自営業を行っている35歳の男性は「ある朝母親に起こされてついて行ってみると、近くの小学校で奇妙なテクノロジー企業が『社会扶助の景品配布』を行っていました。何も知らないままに長蛇の列に加わり、自分の番が来ると金属製の球を目に向けられ、それが終わると番号が記されたチケットをもらいました。企業はお金を配っていたようですが、どのような社会扶助なのかは一切教えてくれませんでした」と証言し、Worldcoinの活動に不信感を表明しています。


このようにWorldcoinの訪問を受けたのは1箇所だけではなく、インドネシア国内だけでも20箇所以上に及ぶとのこと。Worldcoinは多くの場合スキャンの見返りに現地通貨を現金で配布するか、WorldcoinのトークンやAirPodsを配っていましたが、「データを何に使うか」という情報はほとんど現地の人々に明かされていなかったとのこと。このことを調査したMIT Technology Reviewは「Worldcoinは欺まん的なマーケティングにより、認められているよりも多くの個人データを収集したにもかかわらず、提供者からの有意義な理解を得ることができていなかったことが分かりました。この行為は欧州連合の一般データ保護規則(GDPR)、および現地の法律に違反する可能性があります」と報告しています。

Worldcoinは「世界の貧困を改善すること」を目標に、世界中の人々に仮想通貨を提供しようとしています。同社は商品を配ったり、自治体に協力を求めたりしてデータの収集を行っていることを認めていますが、中には担当者が地元の警察当局に勾留された事例も少ないながら存在するとのこと。

Worldcoinには「眼球をカタログ化している」という非難の声や、「人々から同意を得たとするWorldcoinの行動が、さまざまな国、言語圏の人々から正しく理解されたかどうかには疑問が残る」とする専門家の意見が寄せられています。

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in Posted by log1p_kr

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