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走行する車を撮影して「スピード違反の証拠」を作成できるスマホアプリが登場


スピード違反の取り締まりには、一般に「ネズミ捕り」と呼ばれる測定器を使ったものや、パトカーや白バイによる追尾、速度違反自動取締装置(オービス)によるものなどがあります。新たに、人々の安全のために制限速度引き下げを訴える非営利団体「20's Plenty for Us」が、走行する車を撮影してスピード違反の証拠を作成できるスマートフォンアプリ「Speedcam Anywhere」をリリースし、人々からさまざまな意見が寄せられています。

Speedcam Anywhere
https://speedcamanywhere.com/


New smartphone app to gather evidence of speeding - 20's Plenty for Us
https://www.20splenty.org/speedcamanywhere

New smartphone app to allow public to submit evidence of speeding drivers | road.cc
https://road.cc/content/news/new-app-allow-public-submit-evidence-speeding-291501

Speedcam Anywhereはスマートフォンやタブレットなどで使用できるアプリです。デバイスにインストールしたアプリ経由で目の前を通過する車の動画を撮影すると、動画がGPS情報と共にクラウドへアップロードされます。その後、クラウドシステムがAIを用いて車のホイールベースと道路上のポイントを識別し、その移動速度から車の走行速度を算出したり、車両の製造元・モデル・製造年などを調べ上げたりできるそうです。

さらにクラウドシステムは、動画の撮影場所・車両の写真・詳細・速度・その地点の制限速度を含むA4サイズのレポートも自動作成してくれるそうで、ユーザーはクラウドからこのレポートをダウンロードして、警察にスピード違反の証拠として提出することもできるとされています。


Speedcam Anywhereには「通常モード」と「プロモード」が存在し、通常モードでは速度計測の誤差が車速の±10%、プロモードでは誤差が±時速2マイル(±時速3.2km)となっているそうです。また、AIを使用したプロセスにはコストがかかるため、通常モードでは動画1000本ごと、プロモードでは動画100本ごとに14.99ユーロ(約2000円)かかるという仕組みです。

記事作成時点では、Speedcam AnywhereはAndroid版がイギリスのみでリリースされており、今後アメリカでも動作するバージョンをリリースする予定だとのこと。20's Plenty for Usの創設者兼ディレクターであるロッド・キング氏は、「コミュニティや自治体が不注意や配慮の足りない運転の明確な証拠を提出可能にすることで、この技術は速度制限の取り締まりに大きな変化をもたらすでしょう」とコメントしました。


また、キング氏はSpeedcam Anywhereについて報じたサイクリスト向けメディア・road.ccのコメント欄で、情報の補足やその他のコメントへの返信を行っており、それによると動画の分析に基づく速度計測はレーダーなどを用いる測定デバイスに必要なキャリブレーションが不要という点や、必要に応じて警察が動画自体を参照できるという点が優れているとのことです。

その一方でキング氏は、「Speedcam Anywhereが作成した分析レポートを受け入れる法執行機関があるのでしょうか?」という質問に対して、「法執行機関はこうした新規テクノロジーは想定していないものだと考えています」と述べ、Speedcam Anywhereが法執行機関によるスピード違反の取り締まりに役立てられるには時間がかかるだろうという見解を示しました。

Speedcam Anywhereの公式ページにあるQ&Aでも、「Speedcam Anywhereは従来のスピードカメラのようにスピード違反切符や罰金を発行しておらず、イギリスでは証拠として使用することが承認されていません。Speedcam Anywhereは車載カメラと同じで、自動車運転犯罪の証拠を集めるために使用できます。車載カメラと同様に、いかなる訴追も常に警察が、地元の警察の裁量で行わなければなりません」と、Speedcam Anywhereを使った報告が証拠として採用されない可能性がある点が明記されています。なお、このQ&Aによると、Speedcam Anywhereは自発的に情報を警察に渡すことはないものの、将来的には警察が情報の引き渡しを求めてくる可能性もあると述べています。


Speedcam Anywhereについて取り上げたroad.ccをはじめとするメディアのコメント欄では、人々がさまざまな反応を見せています。

The smartphone app that allows public to submit evidence of speeding drivers: will it actually work? | road.cc
https://road.cc/content/news/smartphone-speeding-app-will-it-actually-work-291605

Speed camera app: concerns over new app that lets public shop speeding drivers | Express.co.uk
https://www.express.co.uk/life-style/cars/1590459/speed-camera-app-driving-fine

「これは政府が承認した機器ではなく、誰かがお金稼ぎのために売っているに過ぎません」「デジタル技術の甚だしい乱用です」「イギリスはタレコミ屋の国になりつつあります」といった批判が寄せられているほか、「このアプリは警察がスピード違反をしたと判断する証拠を提供するでしょう」「法定で証拠として受けいられる可能性は低いものの、スピード違反の車についての情報が集まることで、道交法の再評価につながるかもしれません」といった肯定的な意見もありました。

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in モバイル,   ソフトウェア,   乗り物, Posted by log1h_ik

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