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メルセデスの自動運転機能「ドライブパイロット」は動作中の事故でドライバーが法的責任を負う必要なし


「自動運転」と一口に言っても、車線キープ(LKAS)や前の車両への追従走行(ACC)、自動ブレーキといった運転支援を行うレベル1から、常時システムが運転タスクをすべて行うレベル5まで、複数の段階があります。まだレベル5の自動運転は実用化されておらず、GMの「スーパークルーズ」やテスラの「オートパイロット」はシステムによる自動運転をドライバーが監視し、もしシステムが解除されたらただちにドライバーが運転を交代できる状態でいる必要があるレベル2にとどまります。メルセデスは自動運転機能「ドライブパイロット」において、システムが解除されるまでドライバーが車の運転に法的を責任を負わなくてもよい、レベル3の自動運転システムの国際認証を取得し、2022年末までにアメリカでシステムの提供を開始する予定だそうです。

Mercedes Drive Pilot Beats Tesla Autopilot By Taking Legal Responsibility
https://www.roadandtrack.com/news/a39481699/what-happens-if-mercedes-drivepilot-causes-a-crash/


「ドライブパイロット」は、時速40マイル(約64km)以下で特定の高速道路を走行しているとき、速度・ステアリング操作・ブレーキ操作をシステムが自動制御するという点においては他社の自動運転機能と類似していますが、一度システムを作動させると、解除まで車の運転に法的責任を負わないという点が異なります。

S-Class | Conditionally Automated Driving with the DRIVE PILOT - YouTube


すでにメルセデスはドイツのすべての高速道路においてこの「ドライブパイロット」の使用承認を得ており、2022年末までにアメリカでの展開を予定しています。


開発責任者のグレゴー・クーゲルマン氏が自動車情報サイト「Road & Track」に語ったところによると、2022年中にカリフォルニア州とネバダ州の認証を取得することを目指しているそうです。アメリカでは、自動運転に関して連邦政府による規制はほぼ存在せず、各州がそれぞれ自動運転に関する法律を制定しています。

メルセデスは新技術普及のため、政府と協力していく必要があると考えており、そのためにGMの「スーパークルーズ」やテスラの「オートパイロット」のようなレベル2の自動運転ではなく、レベル3の自動運転システムである必要があると考えたとのこと。

たとえば、現行の「半自動運転」システムでは緊急車両の接近を認識することはできず、ライトやサイレンで緊急車両を確認したときに道を空けるのはドライバーの責任です。しかし、「ドライブパイロット」は車両運行に法的責任を負うことになるため、法律に従わなければなりません。緊急車両の進路確保そのものは複雑な要素が絡むことになるため、メルセデスはマイクやカメラで非常灯やサイレンを検知すると、10秒間の警告を発し、ドライバーに手動で進路変更をしてもらうような仕組みにしています。

システムが切れるまでに設けられた10秒というバッファのおかげで、ドライバーは基本的に運転をシステムに任せて、別のことに集中できるとのこと。システムは攻撃的なドライバーによる割り込みや急停止、道路上に転がる破片などにも対応可能だそうです。実際にロサンゼルスで行われたデモンストレーションでは、レベル2の自動運転だとドライバーの介入を求められるような、前方への割り込みに対しても、ドライブパイロットはスムーズで有能な運転を見せたとのこと。ただ、道路標識のオレンジ色の点滅を緊急車両の非常灯点滅と勘違いし、手動運転への切り替えを求められるケースがあったそうです。

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in 乗り物,   動画, Posted by logc_nt

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