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ロシア国営テレビの生放送に「戦争反対」を訴える女性が乱入、事前に撮影したメッセージ動画も公開中


ウクライナへの軍事侵攻を行うロシアでは民間人への言論統制も激しさを増しており、反戦デモに参加した人々が逮捕されたり、雪に「戦争反対」と書いたメッセージを残しただけで有罪判決を受けたり、なんと白紙のプラカードを掲げただけの人が逮捕されたりしています。そんな中、ロシアの国営TV局であるチャンネル1の生放送に女性が乱入し、反戦を訴えるポスターを掲げる事件が発生しました。

Woman crashes Russian newscast
https://www.axios.com/woman-interrupts-russian-newscast-c2820d5d-3b69-463f-84af-d62f829a711d.html

‘They’re lying to you’: Russian TV employee interrupts news broadcast | Russia | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2022/mar/14/russian-tv-employee-interrupts-news-broadcast-marina-ovsyannikova

ロシアではウクライナへの軍事侵攻に反対する言論を厳しく取り締まっており、反戦を訴える人々を逮捕しているほか、記者が発信したロシア軍関連の情報が「フェイクニュース」と見なされた場合に最大で15年の禁固刑が科せられる法案も登場しています。「フェイクニュース法」とも呼ばれるこの法案により、TikTokがロシア国内からのコンテンツ投稿を停止したり、さまざまな海外メディアが取材活動を断念したり、ロシア語版Wikipediaのトップ編集者が逮捕されたりしています。

ロシア語版ウィキペディアのトップ編集者が逮捕される - GIGAZINE


ところが2022年3月14日の夜、ロシアの国営テレビ局であるチャンネル1の生放送中に、戦争反対を訴えるポスターを掲げた女性が乱入する事件が発生しました。実際に女性が乱入した際の映像は、ウクライナの映画スタジオが投稿した以下のYouTube動画で見ることができます。

Россия. Первый канал. Марина Овсянникова. Нет войне! (2022) Новости Украины - YouTube


事件が起こったのはチャンネル1のニュース番組「Wremja」の生放送中でした。女性キャスターが欧米諸国によるロシアへの制裁やベラルーシとの協力について語っていたところ……


画面の右端からポスターを持った女性が登場。


女性は「NO WAR」という英語と、「プロパガンダを信じてはいけません。彼らは嘘をついています」という意味のロシア語が記されたポスターを掲げています。


乱入者を無視してコメントを続ける女性キャスターを避けて横にずれると、ポスターの下部には「RUSSIANS AGAINST WAR(ロシア人は戦争に反対する)」という英語のメッセージも記されているのが読み取れました。


この直後、映像がスタジオから切り替わって女性の姿は見えなくなりました。乱入した女性はチャンネル1の従業員であるMarina Ovsyannikova氏であると報じられており、事件の後で警察に拘束されたとのこと。ロシアの政治的迫害と戦う人権団体であるOVD-Infoによると、Ovsyannikova氏は軍に関する誤情報を拡散したとして「フェイクニュース法」に違反した罪に問われているほか、「市民に不安を広めた」という点でも有罪になる可能性があるそうです。


また、自分が逮捕されることを予期していたOvsyannikova氏は乱入事件の前にビデオメッセージを撮影しており、YouTubeの動画で内容を見ることができます。自宅らしき場所で撮影された動画には、ウクライナ国旗とロシア国旗の色が使われたネックレスを着けたOvsyannikova氏の姿が映っています。Ovsyannikova氏は、「ウクライナで起こっていることは犯罪であり、ロシアは侵略者です。この侵略の責任は、ウラジーミル・プーチンという1人の肩にかかっています」と述べました。


ウクライナ人の父親とロシア人の母親を持つOvsyannikova氏は、「残念ながらここ数年の間、チャンネル1でクレムリン(ロシア政府中枢を指す言葉)のプロパガンダに取り組んできましたが、今はこれを非常に恥ずかしく思っています」と述べ、テレビで嘘を伝えることで「ロシア人のゾンビ化」を促したと主張しています。


Ovsyannikova氏は、2014年のクリミア併合の時は沈黙し、野党指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏の毒殺未遂事件が起きた時も抗議を起こさず、職場で非人道的な政権を黙って見てきたとのこと。しかし、今回のウクライナに対する軍事侵攻においては全世界がロシアを敵対視しており、次の10世代は今回の戦争による汚名が消えることはないだろうとOvsyannikova氏は主張。「私たちロシア人は考えることができる、知的な人々です。この狂気を止められるのは私たちの力だけです。抗議に行きましょう。何も恐れてはいけません。彼らは私たち全員を閉じ込めておくことはできないのです」と訴えました。

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in 動画, Posted by log1h_ik

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