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中国での強制労働にAmazonのサプライヤーが関与

by Craig Nagy

中国当局は少数民族のウイグル人迫害していると指摘されており、Appleなど大手IT企業のサプライヤーにおけるウイグル人の強制労働も問題となっています。そんな中、「Amazonオリジナルブランドの製品やデバイスを製造するサプライヤーには、ウイグル人の強制労働に関与する企業が含まれている」と、大手IT企業の透明性を監視する非営利団体・Tech Transparency Projectが報告しています。

Amazon Suppliers Tied to Forced Labor in Xinjiang | Tech Transparency Project
https://www.techtransparencyproject.org/articles/amazon-suppliers-tied-forced-labor-xinjiang

Amazon suppliers linked to forced labor in China, watchdog group says
https://www.nbcnews.com/tech/tech-news/amazon-suppliers-linked-forced-labor-china-watchdog-group-says-rcna16452

中国では新疆ウイグル自治区に住むウイグル人が強制収容所に連行され、激しい拷問や思想教育が行われていると指摘されており、一部の人々は強制労働に従事させられていると報じられています。中国には大手IT企業から製品や部品の製造を請け負う工場が多いため、近年では「ウイグル人の強制労働によって製造されたものが市場に出回っているのではないか」とする懸念が強まっています。


実際に、Appleの主要なサプライチェーンであるLens Technology(中国藍思科技)の工場で「収容所送りか強制労働か」の選択を迫られたウイグル人が労働させられているとの指摘があるほか、Appleと提携する風力タービンメーカーであるGoldwindの工場でウイグル人の強制労働が行われている可能性も浮上しています。2021年5月には、Appleに部品を提供する7社のサプライヤーがウイグル人の強制労働に関与していると報じられました。

Appleの提携企業7社が「ウイグル人の強制労働」に関与していることが判明 - GIGAZINE


新たにTech Transparency Projectが発表したレポートでは、AppleだけでなくAmazonのサプライヤーもウイグル人の強制労働に関与していることが指摘されています。Tech Transparency Projectによると、Amazonが公開していたサプライヤーのリストには2021年6月に更新される以前、ウイグル人の強制労働と直接または間接的に関与する5社のサプライヤーが含まれていたとのこと。

問題となっているAmazonサプライヤーのうち、直接的にウイグル人を強制労働させていたとされるのはLuxshare Precision Industry(立訊精密工業股分有限公司)・AcBel Polytech(康舒科技)・Lens Technology(中国藍思科技)の3社です。Luxshare Precision Industryは2017年~2020年に数百人の「新疆ウイグル自治区の労働者」を受け入れたとの文書が明らかになっているほか、AcBel Polytechは数年前に新疆ウイグル自治区の当局者と協力し、ウイグル人の労働者が会社に派遣されたことを説明するビデオを製作したそうです。また、Lens TechnologyはAppleの主要サプライヤーとしても知られ、数千人のウイグル人労働者を働かせていたものの、この件が明るみになると工場からウイグル人を追い出し始めたと報じられています

また、Amazonのサプライヤーリストに含まれていたGoerTek(歌尔股份有限公司)とHefei BOE Optoelectronics(合肥京东方光电科技有限公司)の2社は、ウイグル人を強制労働させている工場をサプライヤーに持ち、間接的に強制労働と関与しているとのこと。他にも、ウイグル人を強制労働させているとして2020年7月にアメリカ政府から制裁を受けた繊維企業・Esquel Group(溢達集團)の2つの子会社が、2021年12月までAmazonのサプライヤーリストに残っていたことも指摘されています。

今回の件を報じたアメリカのNBCニュースはAmazonにコメントを求めましたが、広報担当者のErika Reynoso氏は具体的な内容についての言及を避け、「Amazonは事業を展開するすべての管轄区域の法律と規制を順守しており、サプライヤーが当社のサプライチェーン基準を順守することを期待します。私たちは、強制労働の使用または労働力の輸出に関連するものを含め、人権侵害の申し立てを真剣に受け止めています。強制労働の証拠を見つけたり受け取ったりしたときは、いつでも行動を起こします」と述べました。


シンクタンクのオーストラリア戦略政策研究所によると、2017年~2019年にかけて少なくとも8万人のウイグル人が、中国政府の主導で中国各地の工場に送られて、強制労働に従事させられているとのこと。問題に詳しい専門家は、ウイグル人は強制労働を拒否すると処罰される可能性が高いため、労働はウイグル人の自由意志によるものではないと指摘しています。

中国政府によるウイグル人弾圧の政治的・経済的側面をまとめた「Terror Capitalism: Uyghur Dispossession and Masculinity in a Chinese City」の著者であり、カナダのサイモンフレーザー大学で国際研究学の教授を務めるDarren Byler氏は、ウイグル人は家から数百~数千kmも離れた工場に50人単位で送られると指摘。労働者らが住む寮では北京語や思想の教育が行われ、自由に休暇を取ることもできないそうです。

「彼らは強制労働や生活について本当の選択をすることができません。すべての状態が管理およびコントロールされています。彼らの自由時間は工場の管理下にあり、また国家の監視下にもあるので、実際には彼らの時間ではありません。そのため、これは本当に強制的なシステムです」と、Byler氏は主張しています。


Amazonは1900社を超えるサプライヤーと協力しており、将来的に協力する可能性のあるサプライヤーを含めて毎年数千社について調査しているそうで、サプライチェーンの基準を満たさない企業とは契約を避けたり、終了したりしているとのこと。しかし、Tech Transparency Projectは報告の中で、「この調査結果は、Amazonと中国の新疆ウイグル自治区における少数民族の弾圧の関与、そしてサプライヤーとの関係を適切に審査しているかどうかについて疑問を投げかけるものです」と記しており、Amazonがサプライヤーの評価に失敗していることを示唆しています。

Byler氏は、調査を受けるサプライヤー側も仲介業者を挟んで強制労働が露呈しにくくするなどの対策を講じる場合があり、世界的なサプライチェーンからウイグル人の強制労働を排除するのは困難だと指摘。それでも、強制労働との関与が判明している企業をサプライチェーンから排除することで、強制労働をさせる中国政府や工場の経済的コストを上げ、正しい方向へ進むことができると主張しました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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