ハードウェア

Steamの携帯ゲーミングPC「Steam Deck」海外レビューまとめ、ハードウェアは好評も「まだ買うな」の評が相次ぐ


世界最大のゲーム配信プラットフォーム「Steam」公式の携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」が2022年2月25日にリリースされました。「あのSteamが送り出す携帯型ゲーミングPC」として鳴り物入りで発売された本機ですが、海外IT系ニュースサイトからは「まだ買うな」という評が相次いでいます。

Steam Deck review: it’s not ready - The Verge
https://www.theverge.com/22950371/valve-steam-deck-review

Steam Deck: The comprehensive Ars Technica review | Ars Technica
https://arstechnica.com/gaming/2022/02/steam-deck-the-comprehensive-ars-technica-review/

Steam Deck review: A strong start to an exciting new hardware category for game devs
https://www.gamedeveloper.com/business/steam-deck-review-a-strong-start-to-an-exciting-new-hardware-category-for-game-devs

Steam Deck Review: Valve's Handheld Has Big PC Energy | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/reviews/steam-deck-valve-gaming-handheld

Steam DeckはSteamを運営するValveが2022年2月25日にリリースした携帯型ゲーミングPCです。最新のAAAタイトルでも快適に動作するというスペックに加え、スタンドアロンで動作する携帯性、長時間のプレイを前提にして設計されたジョイスティックやトラックパッドがもたらす快適性、USB Type-C端子・Wi-Fi&Bluetooth接続・モニター出力などでPCライクに使える拡張性などを兼ね備えているという点から、Valveは「世界で最もパワフルなフル機能の携帯型ゲーミングPC」とうたっています。

Steam Deck
https://www.steamdeck.com/ja/


しかし、実機のレビューを行った海外メディアからはSteam Deckに対して「まだ買うな」という評が相次いでいます。その理由は、Steam Deckがハードウェア的には非常に高水準であるものの、ソフトウェア側の実装が追いついていないという問題があるためです。

Steam Deckのスペックを見ると、ディスプレイは解像度1280×800ピクセルの対角7インチのIPS液晶パネルを採用しており、対応リフレッシュレート60Hzで輝度は最大400ニト。CPUは独自設計の4コア8スレッドのAMD Zen 2で、GPUは8コアのRDNA 2。RAMは16GBのLPDDR5、ストレージは64GB eMMC/256GB NVMe SSD/512GB NVMe SSDからの選択式。バッテリーは40Whで、USB 3.2 Gen 2に対応したDisplayPort USB Type-CやUHS-I microSDリーダーを搭載。そしてオーディオとして3.5mmヘッドフォンジャックだけでなくデュアルアレイマイクとDSP内蔵ステレオを搭載し、デュアルバンド無線Wi-Fi 5とBluetooth 5.0に対応しながら、重量はわずか669gに収まっています。

このSteam Deckの価格は64GBストレージモデルが399ドル(約4万6000円)で、The Vergeは「パワフルかつ高品質なハードウェアが破格の価格で提供されている」と評しています。Ars Technicaはスペックだけでなく十字キー・ジョイスティック・各種ボタンの使い心地についても褒めあげ、「史上最高のトラックパッド」「移動・張力・感度の点でXbox Eliteコントローラーに匹敵するジョイスティック」「全ての指が完璧な位置に納まるという完成された使い心地」「Nintendo Switchよりも重いが、バランスが優れているため気にならない」「優れたスペックと堅牢性を兼ね備えた見た目も美しいゲーム機」と絶賛。Tom's Hardwareも「側面の縫い目以外は全てが高品質」「操作感が特に気に入った」と語るなど、ハードウェア面では非常に高い評価を得ています。


それでも各メディアが「まだ買うな」と結論を下しており、その理由はソフトウェア面にあります。発売前先行レビューの段階では、エラーやバグ、クラッシュ、ブラックスクリーン、UIの不具合、リグレッションが頻発し、リリース前夜には機能全体に手を加えるような修正まで行われたとのこと。一連の不具合について、The Vergeは「BluetoothやWi-Fi、SDカードの不具合で何度再起動や再接続を重ねたかわからない」「ゲームのダウンロードも不具合が頻発し、インストールが途中で停止したり、ライブラリが全部消滅したりすることすらあった」「フリーズ中に再起動したらSDカードが破損して使えなくなった」「DRMの関係でオンライン接続しなければプレイできないゲームがあった」と報告。Ars Technicaもほぼ同様の症状について報告して、「デスクトップモードに入ろうとしたらシステム全体がクラッシュした」「グランド・セフト・オートVはプレイ可能と表示されているのに、実際に起動すると6連続でクラッシュした。7度目には起動したが、設定変更完了時に4回クラッシュした」「NINTENDO64からの移植作Doom 64は内部処理が行われているにもかかわらず画面が2~3秒フリーズするという状態が頻発し、フリーズ中にモンスターに殺される」「というか、試遊中は常に苦痛だった」という酷評ぶり。Tom's Hardwareも「Halo Infiniteは全く起動しない」「サイバーパンク2077は起動するがしょっちゅうエラーが出る」と同様の問題を報告しています。

そのほかにも、ディスプレイ接続についてはスムーズさにおいてNintendo Switchに劣るそうで、Game Developerは「Valveは改善を約束しているけれども、据え置き機としての機能は携帯機としての機能よりも優先度が一段落ちる」「大画面の有機ELディスプレイでサイバーパンク2077をプレイできればなあ…… 多分無理だろうけど」とぼやき気味。


Valveによると、一連の不具合はSteam OS側の問題で順次修正を行っているとのこと。実際に修正された不具合もあるため今後に期待が持てるものの、発売時点ではまだまだ不具合が残っているため「まだ買うな」と各メディアは報じているわけです。Ars Technicaは「初期に買うとベータテスターの気分を味わえる」とすら評しています。

そのほかのアラについては、Ars technicaが「ディスプレイが色再現が淡めで光のにじみが目立つ」、Tom's Hardwareが「Windowsへの最適化がまだ甘い」、The Vergeが「最高パフォーマンス発揮時にはバッテリーが2時間しか持たない。2時間しか持たないというのは公称通りだが、バッテリーが劣化する1~2年後が不安」とそれぞれ報告しています。また、ファンの動作音もうるさく、The Vergeいわく「本体が熱くならないという点でファンが仕事を果たしていることはわかるもののうるさい」とのことでした。

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in ハードウェア,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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