メモ

車椅子の天才物理学者・故スティーブン・ホーキング博士が残した「落書きまみれの黒板」が公開される

by John Cairns

2018年に76歳で亡くなった理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士は、21歳で筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症して車椅子生活となりながらも、精力的にブラックホールやビッグバン理論などの研究を行って現代宇宙論に貢献しました。そんなホーキング博士が残した「落書きまみれの黒板」が、ロンドンにあるサイエンス・ミュージアムで公開されています。

Stephen Hawking exhibition hopes to unravel the mysteries of his blackboard | Physics | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2022/feb/10/stephen-hawking-exhibition-hopes-to-unravel-the-mysteries-of-his-blackboard

Mysteries of Stephen Hawking's doodle-filled blackboard may finally be solved | Live Science
https://www.livescience.com/stephen-hawking-blackboard-mystery-exhibit

ALSを患いながらも宇宙の研究に熱中したホーキング博士が発表した理論の中には、ブラックホールの特異点定理(ペンローズ・ホーキングの特異点定理)やホーキング放射などがあり、数々の研究結果は現代宇宙論に大きな影響を及ぼしています。そんなホーキング博士は21歳の時に宣告された「余命2年」を大幅に超え、2018年に76歳で亡くなりました。

【訃報】「車いすの物理学者」スティーブン・ホーキング博士、死去 - GIGAZINE

by John Cairns

そんなホーキング博士の日常生活に迫るため、ロンドンのサイエンス・ミュージアムでは2022年2月10日から、「The Stephen Hawking at Work display(『スティーブン・ホーキング博士の仕事場』展)」という無料の企画展を開催しています。

この企画展では、サイエンス・ミュージアムが収集したホーキング博士にまつわる700以上のアイテムの一部が公開されており、その目玉が「ホーキング博士が残した落書きまみれの黒板」です。この黒板は1980年、ホーキング博士がイギリス・ケンブリッジ大学で超空間や超重力に関するカンファレンスを主催した際、一般相対性理論と量子力学を組み合わせた「万物の理論」について検討していた仲間の科学者らが、気晴らしに中途半端な数式や難解なダジャレ、不可解な落書きを好き勝手に書き込んだもの。ホーキング博士はこの落書きで一杯の黒板を消すことなく、生涯にわたり保存し続けていました。

以下の画像がその黒板です。不思議な模様やレンガの壁を乗り越えようとしているイカ、ひげ面の男性、ヘビなどのイラストに加え、中途半端な文章や数式などで覆い尽くされており、一見すると何が何だかわかりません。

by Isidora Bojovic/Science Museum Group

キュレーターのJuan-Andres Leon氏は今回の企画展で黒板を公開することで、40年以上前のカンファレンスに出席した人々がスケッチやコメントの意味を説明してくれることを期待しているとのこと。Leon氏は、「私たちは確かに、彼らの解釈を引き出そうと試みています」と述べました。

今回の企画展では黒板以外にも、1966年に承認された特異点定理に関する博士論文の貴重なコピーや、使用していた車椅子、ブラックホール情報パラドックスに関する賭けの文書、人気アニメ「ザ・シンプソンズ」に出演した記念として贈られたジャケット、Intelの研究者から贈られたガラス製のリンゴなどが展示されています。

Leon氏は、「人々はホーキング博士がどのような日常生活を送っていたのかあまり知りませんし、理論物理学者であったホーキング博士が『なんでもない月曜日に何をしていたのか?』ということは伝わりにくいものです」とコメント。今回の遊び心あふれる展示で披露される品々は、ホーキング博士のユニークで機知に富んだ人柄を反映するものだと述べました。

by NASA HQ PHOTO

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
【訃報】「車いすの物理学者」スティーブン・ホーキング博士、死去 - GIGAZINE

ホーキング博士が死の2週間前に「最後の論文」を完成させていたことが判明 - GIGAZINE

スティーブン・ホーキング博士が失った「声」を再び得るようになるまでの物語 - GIGAZINE

天才物理学者ホーキング博士が「人類は月に行き別の惑星を目指すべき、それ以外に選択肢はない」と語る - GIGAZINE

「人類はかつてないほど危険な時期を迎えている」とホーキング博士が警告 - GIGAZINE

ホーキング博士いわく「地球は今後600年で『火の玉』になるだろう」 - GIGAZINE

疑似ブラックホールで「ホーキング放射」を確認したという研究結果 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.