生き物

チンパンジーは傷を治すため「昆虫」を薬のように使う


霊長類学者により、チンパンジーが傷口に昆虫をあてがっている姿が確認されました。これまでチンパンジーが薬効のある植物を口にしている姿は観察されていたものの、昆虫を使用している姿が観察されたのは初めてです。

Application of insects to wounds of self and others by chimpanzees in the wild: Current Biology
https://doi.org/10.1016/j.cub.2021.12.045

Chimps Use Insects to Soothe Each Other's Wounds in Never-Before-Seen Behavior
https://www.sciencealert.com/chimpanzees-use-insects-to-soothe-their-wounds-and-we-don-t-really-know-why

チンパンジーの国際研究組織であるThe Loango Chimpanzee Projectに所属する進化生物学者のアレッサンドラ・マスカロ氏がガボン共和国でチンパンジーを観察していたところ、あるメスのチンパンジーが唇に小さい虫のようなものをくわえたあと、手で傷口にあてがっている姿を確認したとのこと。マスカロ氏がこの観察結果をチームメンバーと話し合ったところ、ほかの誰もそのような行動を見たことがなく、研究としても報告されていないことが分かります。

マスカロ氏の情報を基に観察を続けた結果、ほかのチンパンジーも定期的に同様の行動をとっていることが確認されます。別のオスチンパンジーは昆虫がのっている葉を口に向けて引っ張り、唇で昆虫を捕らえたあとに親指と人さし指でつまみ上げ、1日中腕の傷口にあてがっていたと報告されています。


また、15カ月間の観察の中で、チンパンジーは昆虫を自分の傷口にあてがうだけではなく、別のチンパンジーの傷口にあてがうような社会的な行動も確認されたとのこと。以下の画像をクリックすると、メスのチンパンジーが子どものチンパンジーに昆虫をあてがう姿が確認できます。

Application of insects to wounds of self and others by chimpanzees in the wild: Current Biology


これまでチンパンジーやボノボが薬用植物を飲み込んで寄生虫を駆虫する姿は確認されていたのですが、昆虫を外傷にあてがっている姿は初めて確認されたとのことです。

マスカロ氏は「昆虫の種類は特定されていませんが、ある種の抗炎症性や消毒・殺菌作用を持っている種だと考えられます。野生のチンパンジーに関する研究が何十年にもわたって行われてきたにもかかわらず、彼らが予想外の行動をとるのはただ驚かされます」と述べました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1p_kr

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