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Amazonデバイスの工場で学生が違法労働させられている実態を暴露した内部告発者が「警察に拷問されていた」と主張


2019年8月、Amazon Alexaを搭載したスマートスピーカーやKindleなどを製造する中国の工場で、16~18歳の学生が法律に反して夜間労働や残業を強いられていることが告発されました。新たに、この問題を暴露した内部告発者の男性が2年間投獄されたことや、警察に殴られるなどの拷問を受けたと主張していることが明らかとなっています。

Alexa whistleblower demands Amazon apology after being jailed and tortured | Amazon | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2022/jan/30/alexa-factory-whistleblower-i-was-tortured-and-jailed-now-amazon-should-apologise

AmazonやAppleなどの大手IT企業は、自社デバイスの製造をFoxconnなどの外部企業に委託していますが、近年ではこうした下請けメーカーの工場における劣悪労働慣行が問題視されています。2019年8月には、Amazon EchoやKindleなどの製造を行っていた中国湖南省衡陽市のFoxconn工場で、16~18歳の学生が違法に労働させられていることが判明。学生を雇用すること自体は違法ではないものの、Foxconnの工場では夜間労働や残業といった法律で禁じられている形態での労働を、教師も一緒になって強制していたことがわかっています。

Schoolchildren in China work overnight to produce Amazon Alexa devices | Global development | The Guardian
https://www.theguardian.com/global-development/2019/aug/08/schoolchildren-in-china-work-overnight-to-produce-amazon-alexa-devices

Foxconnは採用コストを抑えつつ生産ピーク時の労働力を補うため、付近の高校や専門学校から「インターン」という形で1000人以上もの学生を雇っていました。中には2カ月以上の長期にわたり雇用された学生もいたほか、非協力的な学生は教師から暴力をふるわれたり、卒業や奨学金申請に悪影響が及ぶと脅されたりするケースもあったそうです。


この問題を内部告発したのが、当時Foxconnの工場でサプライ供給監視の仕事を行っていたTang Mingfang氏です。記事作成時点で43歳のTang氏は、 工場のコンピューターシステムにアクセスした際に学生の違法労働に関する情報を目にしたとのこと。「生徒が教師からどのように罰せられ、暴行を受けたのかもはっきりわかりました。私はこれらのことが間違っており、違法だと信じています」と、Tang氏は語っています。

同僚たちとFoxconnの問題について話し合った後、Tang氏は違法労働の実態を労働環境改善に取り組む中国のNGO「中国労工観察(China Labor Watch/CLW)」に連絡。そしてTang氏は、携帯電話で撮影した社内文書の一部をCLWと共有し、結果として世界各国のメディアがAmazonの下請け工場で起きた違法労働について取り上げました。これを受けてAmazonは自社スタッフを工場に派遣して調査を実施し、FoxconnはAmazonデバイスを製造する低賃金労働者への補償を行いました。

ところが、Foxconnの経営陣は派遣労働者や学生のほとんどを解雇すると共に、社内文書の流出について調査を開始したそうで、Tang氏は2019年8月に中国当局によって逮捕されてしまいました。当時のことについてTang氏は、「逮捕など経験したことがなかったので、とても恐ろしかったです。特に手錠を掛けられた後はパニックになりました」と述べています。


1度目の逮捕時は2日ほどで釈放されたものの、Tang氏は1カ月後に再び逮捕され、拘留中に厳しい取り調べを受けました。Tang氏は「警察官は尋問中に何度も私を殴りました」「私は7回にわたり(企業機密を流出させたことを自白する文書への)署名を拒否しました。怒った警察官らは私の手錠をベッドのフレームにかけ、立つことも座ることもできない状態にしたため、一晩もかがんだ姿勢でいなくてはなりませんでした」と述べ、拷問によって自白を強要されたと主張しています。

結局、Tang氏には有罪判決が下されて2年間にわたり投獄されてしまい、その間に病気だった父親が亡くなってしまったとのこと。「父はいつも私によい人間であるようにと教えてくれましたし、私は正義が行われるべきだと信じて、心に従ってFoxdonn衡陽工場の深刻な違反を報告しました。しかし、私の投獄は自分自身と家族に大きなダメージを与えました」とTang氏は述べ、父の葬儀に出られなかったことが心残りだと心中を吐露しました。

刑期を終えて釈放されたTang氏は、自分の有罪につながった自白は違法な拷問によって強要されたものであり、有罪判決を覆すことを求める訴訟を起こしました。Tang氏が報復のリスクを認識しつつも公に訴えた理由には、Foxconnにデバイス製造を委託したAmazonへのアピールという意味合いもあるそうです。Tang氏は、「Amazonは私に説明するべきだと思います。私は本当に刑務所に送られるべきだったのでしょうか?そうでなければ、AmazonはパートナーであるFoxconnと共に私へ謝罪し、訴訟を手伝い、補償を行ってくれるはずです」と述べました。


Tang氏はAmazonのジェフ・ベゾスCEOへ宛てた手紙の中で、「私にとっては高すぎる代償でしたが、この状況があなたの目に留まり、全Amazonサプライヤー従業員のために行動してくれるのであれば、私の支払った代償は全て報われると思います」「最後に、あなたの忠実な崇拝者として、あなたの会社の元従業員として、被害者として、息子として、夫として、父親として、以下のことをお願いしたいと思います。衡陽Foxconnが自らの問題を直視し、私に謝罪し、最終的に裁判所が私の有罪判決を取り消すことができるように、地元の裁判所と連絡を取って上訴を支援してくれるようにお願いします」と記しています。

また、CLWのディレクターを務めるLi Qiangもベゾス氏に手紙を送り、Tang氏を支援するように促しています。「CLWはAmazonサプライヤー工場における労働違反の証拠を提供した、この無実のボランティアを解放するよう中国に呼びかけ、労働条件改善に貢献したTang氏に感謝する責任がAmazonにあると信じています。彼がしたことは、Amazonサプライヤー工場における労働者の権利侵害を報告しただけです。何の違法行為も犯していません」「Amazonがサプライヤー工場の労働条件を改善するのを助けたために、Tang氏が刑務所に服役するのは、受け入れがたく不公平です」とCLWは主張しました。

なお、記事作成時点ではベゾス氏からTang氏への返答はなく、AmazonもTang氏の裁判をサポートする意向を示していません。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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