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「11歳の時にFBIから日本のスパイと疑われた」とベテランコンピューター科学者が告白

by wanderingYew2 (thanks for 6M+ total views!)

コンピューター科学者のレスター・アーネスト氏が、「幼少期に友人と作った暗号文のせいでFBIに疑われるハメになった」と語っています。

I Spy
https://web.stanford.edu/~learnest/les/crypto.htm

1930年に生まれたアーネスト氏は、カリフォルニア工科大学で電気工学について学んだあと、海軍航空開発センターで働き始め、後に半自動式防空管制組織(SAGE)Fingerプロトコルなどの開発に携わった人物です。

そんなアーネスト氏は子ども時代にラジオ番組で暗号のことを知るや夢中になり、親友のボビー・ボンド氏とともに暗号を解いたり作ったりすることに熱中したとのこと。専門用語が詰まった本を読みふけり、2人だけの間で通じる暗号文を作ることもあったそうです。


アーネスト氏らは本格的な暗号を作りだし、解読するカギとなるコードを紙に書き写してそれぞれ1枚ずつ持っていたとのこと。アーネスト氏はその紙をメガネケースの底に隠していたのですが、電車に乗ったある日、知らないうちにメガネケースごとなくしてしまいます。

母親が鉄道会社に連絡するも見つからず諦めかけていたのですが、およそ10週間後にFBI捜査官を名乗る人物から「すぐに会えないか」と連絡があったとのこと。黒いリムジンで自宅に訪れた2人のFBI捜査官はメガネケースを見せ、「これを見たことは?」と尋ねたといいます。


アーネスト氏は知る由もなかったのですが、メガネケースは「愛国的な」市民により拾われ、中のコードを見られていたのでした。1942年の当時は第二次世界大戦の真っただ中であり、地元では日系人の強制収容が行われていた時期でもありました。そのためコードを見つけた市民は「日本のスパイのものでは?」と疑い、FBIに引き渡していたそうです。

最初は「子どもが作れる暗号ではない」とアーネスト氏を信じなかった捜査官ですが、やがて片方の捜査官が優しく信じてくれるようになったとのこと。ただもう片方の捜査官は「我々にとって、この事件は過去8週間最優先事項だった。多額の費用をかけ、メガネ屋から医師、隣人、友人に至るまで調査や聞き込みを続けたのに」と不満たらたらで、最後まで信じてくれなかったといいます。

この捜査官はメガネは返してくれたものの、「何かあった場合に解読できる」と言い残し、コードを持って帰ってしまったとのこと。アーネスト氏とボビー氏は新しいコードを考案し、今度は財布に入れて持ち歩くようにしたそうです。


また、アーネスト氏は「FBIにスパイとして疑われたという経歴は後に一度だけ問題になりかけた」と話します。

アーネスト氏が海軍電子工学研究所で働いていた頃、秘密を扱う職員として適切かどうかを問う申請書に経歴を記入する瞬間が訪れたとのこと。そこに書かれていた質問の1つが「あなたはFBIの捜査を受けたことがありますか?」というもの。嘘偽りなく「はい」にチェックし、書くスペースがほとんどなかったために「日本のスパイであると疑われた」と簡単に記入して提出したところ、担当者がゆっくりとアーネスト氏を見て「説明しろ」と一言。


アーネスト氏が説明を始めると担当者はひどく興奮し、申請書をバラバラに破いてゴミ箱に捨て、新しい申請書を持ち出して「そのことについては触れずにもう一度記入して。そうすれば黙認するから」と言ったとのことです。結局申請書にうそを記入することになったアーネスト氏ですが、その後FBIの捜査を受けたことが明るみに出ることはなかったそうです。

なお、ボンド氏は後に医師になっており、大人になってから再会した2人は趣味の自転車レースについてのルール改訂に注力したとのことです。

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in Posted by log1p_kr

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