メモ

無断で年利900%超という法外なローンを組まれる「個人情報盗難×高利貸し」という恐怖の犯罪が続発している


セキュリティ専門ブログのKrebsonSecurityが読者から寄せられたという「盗み出した個人情報を使って年利500~900%という法外なローンを組む犯罪」の体験談を公開しました。この犯罪の背景には、アメリカの金融法に存在する「抜け穴」があります。

Scary Fraud Ensues When ID Theft & Usury Collide – Krebs on Security
https://krebsonsecurity.com/2022/01/scary-fraud-ensues-when-id-theft-usury-collide/

匿名希望とのことで記事中で「ジム」と呼ばれている人物によると、一連の犯罪に気がついたのは2021年5月のこと。当時ジム氏は身に覚えがないにもかかわらず金融機関から「あなたから申請されたローンを承認したいと考えています」というメールと電話を数十回も受け取ったことがきっかけでした。


こうした確認のメールと電話がジム氏のもとに届いたのは、偶然にもジム氏がなりすまし犯罪対策として信用情報機関が所有する信用情報を凍結する処置を講じていたため。金融機関側はジム氏の信用情報が得られず、ジム氏に借金滞納の履歴があるかどうかなどのチェックができなかったため、信用情報を送付するように求める通知を送ったというわけです。

ジム氏は通知を送ってきた金融機関に対して、「ローンを組むつもりはない」と返答。データベース上に存在する個人情報は盗み出されたものなので削除して欲しい、と通達しました。

ジム氏とやりとりを行った金融機関の中には、アッパーレイクのハベマトレル・ポモ族という、ネイティブアメリカンの一部族が運営するマウンテン・サミット・フィナンシャル(MSF)という貸付を専門とする金融機関があり、このMSFはジム氏に対して「ローンの申請については受理を行わず、個人情報についてはデータベースから削除する」と保証しました。しかしこのやりとりからおよそ4カ月後の11月27日、MSFは「ローンの申請を受理し、ご指定の口座にご希望の借入分を振り込みました」というメールを送ってきました。


この通知を見ると、「年利546.56%」という恐ろしい金利でローンが組まれていることがわかります。


上記のメールが届いた翌週、ジム氏はMSFに連絡しましたが、すでに借入分がジム氏のあずかり知らない口座に振り込まれてしまった後だったとのこと。MSFは当初ジム氏の撤回要請を無視しましたが、ジム氏が問題のローンは個人情報盗難が原因であるという宣誓供述書を書いたり地元警察へ報告したりといった手続きを踏んだところ、最終的には問題のローンが正当な手続きで締結されたものではないと同意。そして翌年の1月中旬にジム氏に対して「当社から流出した個人情報でローンが組まれた可能性がある」という通達を送付しました。

KrebsonSecurityによると、このような金利のローンが組まれてしまう事件の背景にはネイティブアメリカンに関する「部族法」の問題が存在します。アメリカのほぼ全ての州にはUsury Laws(高利貸し法)というローンの最大利息額を制限する法律が存在しますが、アメリカ合衆国連邦政府はネイティブアメリカンとアラスカ先住民に対して「部族の主権」として自らを統治する権利を認めており、いくつかの例外を除いて連邦政府や州政府と同等の権限を与えています。このことから、ネイティブアメリカンの一部族が運営するローンは州法の適用外となっており、ローンに対する規制が緩やかな部族法しか適用されないとのこと。犯罪によって無断で組まれた今回のローンは州法ならば高利貸し法の対象となりますが、部族法では適法というわけです。

ジム氏の一件と同様の犯罪はアメリカ国内で相次いでおり、2022年1月時点では「犯罪によって組まれた544~922%という年利のローンはそもそもRICO法と州法違反にあたる」としてネイティブアメリカンの部族が運営する金融機関4社に対する(PDFファイル)訴訟が進行中とのこと。

今回のストーリーの主役となったジム氏は「まだMSFには腹が立ちます」と述べる一方で「不安な気持ちもあります」とも語っており、「こうした金融機関は5月の時点で私が個人情報の削除を要請したにもかかわらず、信用情報のチェックもなければ同意の確認もなく私名義でローンを組みました。なので、いつか取り立て屋から契約してもいない分割払いのローンの支払いを行えと電話がかかってきそうな気がするんです」とコメントしています。

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in メモ, Posted by log1k_iy

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