サイエンス

火星隕石の有機物の起源を「生物由来」としたNASAの主張を否定する新研究


南極大陸で見つかった火星からの隕石(いんせき)「アラン・ヒルズ84001」に有機化合物が含まれていたことについて、1996年にNASA主導の研究チームが「火星の生物由来の可能性」を指摘していますが、カーネギー科学研究所から生物由来であることを否定する研究が発表されました。

Organic synthesis associated with serpentinization and carbonation on early Mars
https://doi.org/10.1126/science.abg7905

Martian meteorite’s organic materials origin not biological, formed by geochemical interactions between water and rock | Carnegie Institution for Science
https://carnegiescience.edu/news/martian-meteorites-organic-materials-origin-not-biological-formed-geochemical-interactions


New study of 1980s Mars meteorite debunks proof of ancient life on planet | Mars | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2022/jan/13/new-study-of-1980s-mars-meteorite-debunks-myth-of-ancient-life-on-planet

「アラン・ヒルズ84001」は40億9100万年前に溶岩から結晶化したものとみられ、火星でも特に古い隕石の1つだとのこと。約1万3000年前に地球に落下し、1984年、南極で発見されました。


1996年、NASAが主導する研究チームが「アラン・ヒルズ84001」の中で見つかった有機化合物は、生命由来のものであると発表しました。発表については、当時の大統領であるビル・クリントン氏も喜びの声明を出していますが、科学者からは懐疑的な目で見られていました。

カーネギー科学研究所のアンドリュー・スティール氏らの率いるチームは、ナノスケール画像や同位体分析、分光学などさまざまな高度な試料調製・分析技術を駆使して、「アラン・ヒルズ84001」内の有機分子の起源を調査。

その結果、有機化合物は水と岩石の相互作用によるものである証拠が見つかったとのこと。相互作用の1つは、鉄やマグネシウムを多く含む火成岩が循環する水と科学的に相互作用して鉱物学的に変化し、その過程で水素を発生させる「蛇紋岩化作用」。もう1つは、二酸化炭素を多く含む弱酸性水と岩石の相互作用で炭酸塩鉱物が生成される「炭化」だとのこと。

こうした鉱物学的変化が火星の隕石で見つかることはまれだそうです。

研究結果についてスティール氏は「こうした相互作用が古代の火星で起きたとすれば、同様に古代の地球でも起きたと考えられます」「この種の有機合成に必要なのは、溶存二酸化炭素を含むブラインが火成岩に浸透することだけです」と述べています。スティール氏は、技術の進歩によって今回のような新たな発見が可能になったものであり、生命由来であると主張する仮説は「当時としては合理的な解釈でした」とも述べました。

今回の研究に参加した研究者のうち2名は結果に異議を唱え、1996年の主張を支持すると述べたとのことです。

なお、今回の発表は「アラン・ヒルズ84001」の有機物に関するものであり、火星に生命が存在した可能性を否定するものではありません。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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