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理解せずに同意している「長すぎて誰も読めない利用規約」をなんとかするため「わかりやすい要約」を表示する法案提出へ


SNSやオンラインサービスに登録する際は利用規約への同意が求められますが、大抵の利用規約は難しい言葉を使ってびっしりと記されているため、「利用規約を読まないまま同意している」という人も多いはず。そんな長すぎて誰も読めない利用規約の問題を解決するため、アメリカの議員らが「利用規約のわかりやすい要約」の表示を企業に義務づける法案を提出しました。

To require the Federal Trade Commission to issue a short-form terms of service summary statement, and for other purposes - tldr_act.pdf
(PDFファイル)https://trahan.house.gov/uploadedfiles/tldr_act.pdf

Press Releases | Cassidy, Lujan, Trahan Introduce Bill to Inform Consumers, Increase Online Transparency
https://www.cassidy.senate.gov/newsroom/press-releases/cassidy-lujan-trahan-introduce-bill-to-inform-consumers-increase-online-transparency

No one reads the terms of service. Lawmakers want to fix that with a new 'TLDR' bill. - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/politics/2022/01/13/no-one-reads-terms-service-lawmakers-want-fix-that-with-new-tldr-bill/

利用規約にはサービス提供に関する詳細や個人情報の取り扱いなどが記されているため、SNSやサービスに登録する際にはしっかり読み込んで同意する必要があります。しかし、以前から「ネットサービスの利用規約は一般人が読むにはハードルが高すぎる」という問題が指摘されており、2019年には「ネットサービスの利用規約の99%は学術誌レベルで難解」との研究結果も発表されました。

ネットサービスの利用規約のほとんどは難しすぎて「学術誌レベル」であることが判明 - GIGAZINE


「利用規約が長すぎて誰も読めない」という問題を解決するため、アメリカでは共和党のビル・カシディー上院議員、民主党のベン・レイ・ルーハン上院議員、民主党のロリー・トレーハン下院議員らの超党派グループが、商用ウェブサイトやモバイルアプリに「利用規約の簡単で読みやすい要約」を表示することを義務づける「TLDR法」の法案を議会に提出しました。TLDR(TL;DR)とは、「Too Long, Didn’t Read(長すぎて読めない)」を意味するスラングであり、転じて「長すぎて読めない人のための要約」の意味もあります。

カシディー氏はプレスリリースで、2012年の(PDFファイル)調査結果から平均的なアメリカ人は利用するテクノロジー企業の利用規約を読むのに76日間かかり、圧倒的多数が内容を読まずに同意していると指摘。「ユーザーは自分のデータがどのように使用されるのかを知るために、ウェブサイトの利用規約の中から法律専門用語を探し出す必要はありません」と述べ、企業がわかりやすい要約を示すことでオンラインの透明性が向上するとカシディー氏は主張しています。

また、ルーハン氏は「消費者には、自分自身と家族のためにオンラインの意思決定に関する情報がしっかり与えられるべきです。しかし、きちんと情報を提供するのではなく、長くて複雑な利用規約を使ってデータポリシーに関する詳細を隠し、法的責任を逃れようとする企業が多すぎます」と非難しました。

トレーハン氏は、「あまりにも長い間、包括的な利用規約によって消費者は企業が提示する全ての条件に同意するか、ウェブサイトやサービスへのアクセスを完全に失うことを強いられてきました。交渉の余地や他の選択肢はありませんでした」「(複雑な利用規約が)悪用される可能性があることは明白であり、一部の悪質な業者はユーザーの個人データに対する支配を拡大し、責任から身を守るためにこれらの利用規約を悪用しています。これは政党を越えた問題であり、TLDR法のように透明性を要求し、消費者に権力を返す解決策が求められています」と述べています。


TLDR法では、以下の条項をわかりやすく説明した要約文を表示することを、中小企業を除いた大企業に求めるとのこと。なお、法令を順守していない企業は、少なくとも1000人以上の住民が被害を受けた場合に民事訴訟の対象となります。

・収集するユーザー情報の種類(健康データ・人種・性別・性別・年齢・人口統計情報など)。
・収集したデータが消費者にサービスを提供するために必要なのかどうか。
・消費者のデータを第三者とどのように共有するのかを表すイメージ図。
・消費者がデータを削除できるのかどうか、そして削除する方法。
・サービスを利用する消費者の法的責任(コンテンツに対する権利・強制的な裁定・集団訴訟の放棄など)。
・過去3年間に発生したデータ漏えいの一覧。

2021年にはFacebookの元プロダクトマネージャーだったフランシス・ホーゲン氏が、「Facebookは利益を優先してユーザーへの悪影響を無視していた」とする内部告発を行い、メディアや議員からの注目を集めました。プライバシーやテクノロジー関連の政策立案者として知られるトレーハン氏は、「議会はプライバシーや独占禁止法に関して非常に積極的です。私はホーゲン氏の告発が、議会が透明性に追いつく必要があることを証明したと思います」と述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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