ソフトウェア

24歳のリーナス・トーバルズによる貴重な講演音声が再発見される

By Krd

国際的なLinux関連認定機関であるLinux Professional Instituteの理事長を務めるジョン・ホール氏が、Linuxの生みの親であるリーナス・トーバルズ氏が24歳のときに行った講演の音声記録を公開しました。

The lost talks from Linus Torvalds at DECUS'94 : John Hall : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive
https://archive.org/details/199405-decusnew-orleans

Rare Recordings of 1994 Talks By a 24-Year-Old Linus Torvalds Re-Discovered - Slashdot
https://linux.slashdot.org/story/21/12/26/0511201/rare-recordings-of-1994-talks-by-a-24-year-old-linus-torvalds-re-discovered

今回公開された音声記録は、1994年5月に開催されたDigital Equipment Corporationのユーザーコミュニティ「DECUS」のシンポジウムにおけるトーバルズ氏の講演を録音したもの。「Linuxにおける実装の問題」と題された講演は、インターネット・アーカイブの以下のページから、再生ボタンをクリックすると聴取できます。

The lost talks from Linus Torvalds at DECUS'94 : John Hall : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive
https://archive.org/details/199405-decusnew-orleans


当時24歳だったトーバルズ氏はまだヘルシンキ大学に所属する学生という立場でしたが、開発サイクル・プロセス管理・ファイルシステム・メモリ管理などのLinuxの基本設計や、「Keep it simple stupid(シンプルにしておけ!この間抜け)」というKISSの原則などについて1時間も語っています。

この音声記録を2021年12月25日に公開したジョン・ホール氏は、「GNUまたはLinuxを愛する善良な少年少女たちへ、これが長らく待たせてしまったクリスマスプレゼントです」という語りだしと共にトーバルズ氏に出会ったときのエピソードも明かしています。それによると、1994年2月に当時DECUSの議長を務めていたカール・レイスラー氏が聞いたこともないような人物をフィンランドから呼び寄せたいと突然言い出し、この人物の旅行費を捻出するための寄付を募り始めたため、ホール氏が慈悲をかけたとのこと。そしてDECUSの会場でレイスラー氏の所有するゴミのようなIntel製PCに、2人で四苦八苦しながら「ソースコード付きの完全なUnixシステムがたったの99ドル(当時のレートで約1万円)」と書かれたCDに入っていたプログラムをインストールしようとしていたところ、砂のようなブラウンの髪、金縁メガネ、ウールの靴下にサンダル履きの青年がヨーロッパ訛りで「お手伝いしましょうか?」と言ってきたそうです。


こうしてリーナス・トーバルズと名乗る青年はわずか10分ほどでレイスラー氏の貧弱なIntel製PCにLinuxをインストールし、そして「Linux入門」「Linuxにおける実装の問題」と題された2つの講演へ向かいました。当時のDECUSの会場には全体で1万9000人もの参加者がいましたが、トーバルズ氏の講演を聴きに来た参加者はわずか40人ほど。しかし、観客が少ないながらもトーバルズ氏は大きなストレスを感じていたようで、ホール氏いわく「何度も吐きそうな顔をしていた」とのことですが無事に講演をやり終え、そして盛大な拍手を受けたそうです。

今回ホール氏によって公開された音声記録は、当日にトーバルズ氏が行った2つの講演のうち「Linuxにおける実装の問題」のほうのみ。ホール氏は掃除中にこの音声記録が入ったオーディオテープをたまたま見つけたとのことで、「これが30年近く前のクリスマスプレゼントです。全ての信条・宗教の人に、ハッピー・リナックシング(Happy Linuxing)」とコメントを寄せました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Linux生みの親リーナス・トーバルズの当時のメールで振り返る「Linux」誕生の瞬間 - GIGAZINE

「技術的革新について話すだけのヤツはクソだ、黙って手を動かせ」とLinux生みの親のリーナス・トーバルズが語る - GIGAZINE

Linuxはどのようにして生まれたのかをリーナス・トーバルズの述懐から紐解く - GIGAZINE

Linux生みの親リーナス・トーバルズが反ワクチン派の主張に激怒、「予防接種を受けろ。反ワクチンの嘘を信じるのは止めろ」 - GIGAZINE

Linuxを生み出したリーナス・トーバルズがIntelを厳しく批判、理由は「ECCメモリを死に至らせているから」 - GIGAZINE

in ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.