サイエンス

世界初の「HIV感染を予防する注射」をFDAが承認


アメリカにおける医療品規制を管轄するアメリカ食品医薬品局(FDA)が、世界で初めて性交渉する前からヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染するリスクを減らす注射「Apretude(カボテグラビル)」を承認しました。カボテグラビルはHIV感染前に服用する曝露前予防内服(PrEP)という種類の薬であり、1カ月間隔で2度注射したのち、その後は2カ月間隔で投与する治療薬です。

FDA Approves First Injectable Treatment for HIV Pre-Exposure Prevention | FDA
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-injectable-treatment-hiv-pre-exposure-prevention

1st long-acting injection to prevent HIV has been approved by the FDA | Live Science
https://www.livescience.com/hiv-prevention-injectable-apretude-fda-approved

FDA Just Approved The World's First Injectable Medication to Prevent HIV
https://www.sciencealert.com/fda-approves-first-long-acting-injection-to-prevent-hiv

現地時間の2021年12月20日、FDAはHIV感染を予防するための注射薬であるカボテグラビルを承認しました。HIV感染予防薬としては、予防率が最大99%という錠剤タイプの「Truvada」が存在しますが、これらは毎日服用する必要あります。一方で、新たにFDAに承認されたカボテグラビルは、最初の2回は1カ月間隔で、その後は2カ月間隔で注射するだけでOKなため、手間が少ないというのが特徴です。


FDAの医薬品評価研究センターで抗ウイルス薬部門のディレクターを務めるデブラ・ブリンクラント博士は、「カボテグラビルは2カ月ごとに投与される注射で、リスクの高い個人や毎日の服用を守れない特定の人々を支援するためのHIV予防薬です」と語っています。

FDAによると、アメリカでは毎日服用する必要のあるPrEPが推奨されており、2020年にはHIVに感染するリスクが高いとされるグループの約25%が処方を受けたそうです。しかし、FDAは「大幅な改善の余地がある」と考えていた模様。


カボテグラビルに関する2つの臨床試験は、カボテグラビルがTruvadaよりも効果的にHIV感染のリスクを減らすことができることを示唆しています。臨床試験はランダム化された二重盲検として行われており、「この種の研究のゴールドスタンダードを満たしている」とFDAは記しています。

1つ目の試験では、被験者に約4600人のシスジェンダーの男性やトランスジェンダーの女性も含まれており、試験結果としてはカボテグラビルを服用した人は、Truvadaを服用した人よりもHIVに感染するリスクが69%も低かったそうです。さらに、2つ目の試験では、約3200人のシスジェンダーの女性が被験者となっており、カボテグラビルを服用した人が、Truvadaを服用した人よりもHIV感染のリスクが90%も低くなっていました。

カボテグラビルを服用した被験者は頭痛・発熱・倦怠感・腹痛・筋肉痛・発疹などの副反応を示したそうです。なお、FDAはカボテグラビルを服用するには体重が少なくとも77ポンド(約35kg)以上必要であるとしています。

また、カボテグラビルを注射する場合は、初めて注射する4週間前の段階で「Vocabria」と呼ばれる経口剤を服用し、薬剤耐性があるか否かを確認する必要があります。これに加えて、カボテグラビル注射前にHIV検査で陰性であることを示す必要もあるとのこと。


カボテグラビルの定価は1回あたり3700ドル(約42万円)であり、1年分となる6回接種の場合は2万2200ドル(約250万円)となります。なお、NBC Newsの報道によると、2022年初頭にもアメリカの卸売業者や専門業者から販売される予定とのことです。

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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