ハードウェア

HDMI 2.0にしか対応していないモニターを「HDMI 2.1対応」と宣伝するのは虚偽なのか?


HDMI(High-Definition Multimedia Interface)は、映像と音声を1本のケーブルにまとめて送信できる通信規格で、バージョンによって伝送速度や映像の解像度、フレームレート、対応オプションが大きく異なります。「2021年12月時点で最新バージョンであるHDMI 2.1への対応をうたう液晶ディスプレイが、実際は古い規格であるHDMI 2.0にしか対応していなかった件」について、映像機器関連のニュースを取り扱うTFT Centralが調査を行っています。

When HDMI 2.1 Isn't HDMI 2.1 - The Confusing World of the Standard, "Fake HDMI 2.1" and Likely Future Abuse - TFTCentral
https://tftcentral.co.uk/articles/when-hdmi-2-1-isnt-hdmi-2-1


HDMI 2.1は2017年に発表された規格です。HDMI 2.0で18Gbpsだった帯域幅がHDMI 2.1では48Gbpsに拡張し、それに伴って4K/120Hzや8K/60Hzの映像もHDMI 2.1で送信できるようになり、さらに可変リフレッシュレート(VRR)や自動低遅延モード(ALLM)にも対応するようになりました。

「HDMI 2.0」から「HDMI 2.1」になると一体何が変わるのか? - GIGAZINE


TFT Centralが調査したのは、Xiaomiが2021年11月にリリースしたリフレッシュレート240Hzの24.5インチ液晶ディスプレイXMMNT245HF2で、公式サイトの仕様欄には「HD(1080p)解像度で240Hzのリフレッシュレートを実現する」「製品仕様にDisplayPort 1.2ポートを1つ、HDMI 2.1ポートを2つ備えている」と記されていました。


しかし、仕様欄の一番下に、「HDMI認証規格の細分化により、HDMI2.1は送信プロトコルに応じて、HDMI 2.0と同等の帯域幅を持つTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)方式と、FRL(Fixed Rate Link)方式の2つに分類されました。本製品のHDMI 2.1インターフェースはTMDS方式に対応しており、本製品が対応する最大解像度は1920×1080ピクセル、最大リフレッシュレートは240Hzです」と小さく書かれていました。


この注意書きに対して、TFT Centralは「『新しいHDMI 2.1』という触れ込みでHDMI 2.0の機能しかもたないデバイスを宣伝しているように見えました」とコメント。Xiaomiが述べている「TMDSプロトコル」HDMIライセンスの管理団体であるのHDMI.orgに問い合わせたそうです。

TFT CentralがHDMI.orgから得られた回答は以下の通り。

1:「HDMI 2.0」という規格はもはや存在せず、認証されていないため、機器が2.0に準拠していることを主張すべきではありません。
2:HDMI 2.0の機能は、HDMI 2.1のサブセットとなっています。
3:HDMI 2.1に関連するすべての新機能は、オプションです。
4:機器がHDMI 2.1に準拠していると主張する場合は、混乱を避けるために「どの機能をサポートしているか」を明記する必要があります。

HDMI.orgの言い分を踏まえると、「たとえHDMI 2.0の機能しか提供していなくても、HDMI 2.1と表示されるべき」ということになります。つまり、HDMI 2.0の認証は打ち切られているため、「HDMI 2.1対応」というアピールの裏にはHDMI 2.0相当の性能しかないこともあり得るというわけです。TFT Centralは「何かを認証する上で、これは非常にまずいやり方だと思います。HDMI 2.0の機能しか持っていない機器をHDMI 2.0対応デバイスとして認証することの何が悪いのでしょうか?」と述べ、認証はベースラインを定義するものであるべきだと主張しています。


調査対象だったXiaomiのXMMNT245HF2が搭載するポートにはHDMI 2.0を超える機能は全くありませんが、消費者に向けて「HDMI 2.1対応」と宣伝されています。しかし、注意書きも含めたスペック表示は、HDMIライセンス管理者の定義に照らし合せると虚偽とはならないわけです。TFT Centralは「もちろん商品には『最大1080p/240Hz』と書かれているので、購入者はHDMI 2.1で対応する4K/120Hzの映像が見られることを期待しないでしょうが、HDMI 2.1に含まれるVRRやALLMにも対応していると勘違いする可能性はあります」と述べています。

例えば、「4Kの解像度」と「120Hz以上のリフレッシュレート」をサポートする液晶ディスプレイがHDMI 2.0のポートしか搭載していないのであれば、色深度を8bitに抑えるか、クロマ・サブサンプリングを4:2:0に制限しなければなりません。TFT Centralは、「AsusのゲーミングモニターであるROG Swift PG32UQXはまさに上記の例えに当てはまりますが、少なくともAsusは仕様としてHDMI 2.0ポートであると表示し、その制限を明らかにしています」と指摘しています。

ただしTFT Centralは、市場に出回っている製品のほとんどはHDMI.orgの定義を無視し、HDMI 2.0表記を続けているものがほとんどであると指摘し、「実際に、HDMI 2.0表記が使われ続けるのは良いことだと思います。私たちはHDMI 2.1の名前が乱用されるよりも、HDMI 2.0の表示が継続的に使われることを望んでいます」とコメント。さらに「理想的にはHDMI 2.0の表示が使われ続ける状態が続くことが望ましいのですが、HDMI.orgのガイダンスはこれに反しているようです」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
取り回ししやすい「HDMI 2.1」対応ケーブルはどれなのか一斉比較レビュー - GIGAZINE

48Gbps伝送で8K・60Hz映像出力も可能なHDMI 2.1対応の「Anker Ultra High Speed HDMI ケーブル」レビュー - GIGAZINE

HDMI業界の閉鎖体質がオープンソースのGPUドライバーに悪影響を及ぼしているとの指摘 - GIGAZINE

「HDMI 2.0」から「HDMI 2.1」になると一体何が変わるのか? - GIGAZINE

4Kコンテンツへの本格対応を果たしたHDMI2.0規格はどのように進化しているのか - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.