サイエンス

「うんこの頻度」は遺伝子に左右されることが明らかに


お腹を下しやすい人や便秘気味な人など、排便の頻度は人それぞれのように思えます。しかし、最新の研究により人の排便頻度は遺伝情報に左右されることが明らかになりました。

GWAS of stool frequency provides insights into gastrointestinal motility and irritable bowel syndrome - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666979X21000859

How often do you poo? New research shows bowel habits are written in our DNA
https://theconversation.com/how-often-do-you-poo-new-research-shows-bowel-habits-are-written-in-our-dna-173181

ほとんどの人は便意をもよおした際にトイレに駆け込むのが普通かもしれませんが、過敏性腸症候群(IBS)などを患っている人は少し状況が異なってきます。IBSは世界中で最大10%もの人が患っている可能性のある症候群で、腹痛や腹部膨満、不規則な排便習慣、便秘、下痢などを引き起こすというもの。生命を脅かすようなものではありませんが、「人の生活の質に深刻な影響を与える可能性がある」と研究者のマウロ・ダマト氏とフェルディナンド・ボンフィリオ氏は指摘しています。

IBSの原因は正確には明らかになっておらず、治療方法も限られており、症状の緩和がメインです。また、どういった人がIBSの発症リスクが高いかどうかを知る方法もこれまでは存在しませんでした。


そこで、ダマト氏とボンフィリオ氏が率いる研究チームは、過去の研究で収集された大規模な遺伝情報と健康関連データを分析し、IBSの遺伝的危険因子を特定するという試みを行っています。両氏がこの分析を行っている理由は明確で、将来的なIBS治療の可能性を開くためです。そして、同研究チームは「人間が排便する頻度」と「遺伝情報」がどのように関係しているのかを調査した、最新の研究論文を学術誌のCellGenomicsで公開しています。

ダマト氏とボンフィリオ氏によると、IBSなどの複雑な疾患の遺伝的関連を調査することは、さまざまな理由から困難だそうです。そんな困難な調査を進めるためのひとつの方法として、両氏は「病気を個々の生物学的要素まで分解すること」を挙げています。これは中間表現型あるいは「エンドフェノタイプ」と呼ばれるそうです。

両氏はこのアプローチを研究に取り入れ、IBSの特徴的な中間表現型として「腸の運動性」を研究することに決めたそうです。その理由はIBS患者の多くが腸の運動障害を経験するため。腸の運動障害は、腸が消化器系を介して内容物(食べ物や飲み物)を動かすのに適切に機能しないというもので、これにより便秘や下痢といった症状が起こります。

腸の運動性を直接測定するには大規模な研究には適さない臨床手順が必要になります。しかし、排便の頻度は腸の運動性と相関することが過去の研究により示されています。そのため、ダマト氏とボンフィリオ氏は過去の研究データを分析し、16万7875人分の排便頻度と数百万人分のDNAマーカーを分析することで、排便頻度と遺伝情報の関係を解き明かしました。


分析の結果、他と比べて排便頻度が高いあるいは低いと報告している人は、ヒトゲノムの14の領域に特徴を持っていることが明らかになっています。これらの領域には神経伝達物質・ホルモン・受容体を含む腸と脳のコミュニケーションに関連する複数の遺伝子があるため、「理にかなった結果」と両氏は指摘。ただし、排便頻度に関連する14のヒトゲノム領域のほとんどは、具体的にどのような生物学的機能を特徴としているのかを明らかにする必要があります。

また、排便頻度とIBSの間にも同じように遺伝的関連の証拠が見つかっています。ダマト氏とボンフィリオ氏は、「これを言い換えると、排便頻度を制御するための重要な遺伝的要因は、IBSを発症するリスクに関しても重要であるように思えるということです」と語りました。


さらに、研究ではIBSの発症リスクが高い人を特定することができるかどうかを確認するために、遺伝情報を要約した数値であるポリジーンリスクスコアを計算しています。ポリジーンリスクスコアによる判定は下痢を特徴としたIBSにとってより有益だったそうで、ポリジーンスコアが高い(排便頻度が高い)人は、下痢を伴うIBSを発症する可能性が最大で5倍も高いことが明らかになっています。

ただし、両氏による研究では排便習慣に影響を与えるライフスタイルや食事といった要因を考慮していない点には注意が必要です。加えて、排便頻度のポリジーンリスクスコアとIBSの予測における値は、異なる民族的背景を持つ人々の間でテスト・検証される必要があると両氏は述べました。

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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