サイエンス

質の高い研究を促進する賞金6400万円の新しい科学賞「アインシュタイン財団賞」の受賞者は?


現代の研究には多くの問題があることが指摘されています。そんな中、質の高い研究を支援するために2021年から始まった新しい賞「Einstein Foundation Award for Promoting Quality in Research(研究の質を促進するためのアインシュタイン財団賞)」の受賞者が発表されました。受賞者の中には、プレプリントサーバー「arXiv」の開発者として知られる、物理学者のポール・ギンスパーグ氏が含まれます。

Einstein Foundation to present the inaugural €500,000 Award for Promoting Quality in Research
https://idw-online.de/en/news781515

2009年にドイツ・ベルリンの優れた科学研究を組織横断的に支援するために設立されたアインシュタイン財団は、2020年12月に高品質の研究を支援する「アインシュタイン財団賞」をスタートすると発表しました。この賞の賞金は合計50万ユーロ(約6400万円)と設定されており、対象となる研究分野は自然科学・社会科学・人文科学で、研究の厳密性・信頼性・堅牢性・透明性を高め、質の高い研究を行う科学者・組織・資金提供者・政治家の意識と活動を促進することを目的としているとのこと。賞は「研究者」「研究機関」「初期のキャリアにある研究者」の3つのカテゴリに分けられています。

そして2021年11月24日、第1回目のアインシュタイン財団賞の授賞式が執り行われました。研究結果の質と堅牢性の向上に多大な貢献をしたとして賞を送られたのは、アメリカの物理学者ポール・ギンスパーグ氏と、アメリカに拠点を置く非営利組織のオープンサイエンスセンター、そしてジェシカ・コージー氏とマーティン・ゼッターステン氏によるプロジェクト「ManyBabies5」です。

ギンスパーグ氏は、プレプリントサーバーであるarXivの開発者として有名な人物。受賞にあたってarXivは「科学出版の革命の基礎を築いたこと」また、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックでの迅速な対応を支援したこと」が評価されました。


また、オープンサイエンスセンターについてアンシュタイン財団は「オープンサイエンスをデフォルトにするために必要なツールとデジタルインフラストラクチャを科学者に提供することにより、近年の世界的な研究文化を恒久的に変革しました」と述べています。


「ManyBabies5」は、ジェシカ・コージー氏とマーティン・ゼッターステン氏による、乳幼児の注意力についての研究で影響力のあるモデルを作り出した異文化研究プロジェクト。


ギンスパーグ氏とオープンサイエンスセンターはそれぞれ20万ユーロ(約2500万円)を、ManyBabies5の研究チームは10万ユーロ(約1200万円)を受け取ることになります。

なお、2021年の審査員は、米国科学アカデミーの会長であるマルシア・マクナット氏、王立学会のジュリー・マクストン氏、ノーベル経済学賞受賞者のアルヴィン・ロス氏、科学史家のロレイン・ダストン氏、脳神経科学者のアラステア・バカン氏、哲学者のモッシェ・ハルバータル氏とスーザン・ニーマン氏、コンピューター科学者のミシェル・コスナール氏、心理学者のドロシー・ビショップ氏とスージー・スタイルズ氏、経済学者のリナ・ラビナス氏とエドワード・ミゲル氏、そして世界銀行の社会科学者であるソイジック・エリーゼ・ワン・ゾンネ氏となっています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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