サイエンス

子どもは生後どれくらいの時期から「ユーモア」を理解するのか?


言葉が話せないほど小さな赤ちゃんでも、大人がおかしなことをしたら笑ったり自分でおかしな動きをして面白がったりするなど、何かしらのユーモアや笑いの感覚を持っていると考えられます。イギリスのブリストル大学が主導する国際的な研究チームが行った調査により、「子どもは早ければ生後1カ月で特定のユーモアをユーモアとして正しく理解し、成長するに従ってユーモアの感覚を発達させていく」との結果が示されました。

The Early Humor Survey (EHS): A reliable parent-report measure of humor development for 1- to 47-month-olds | SpringerLink
https://link.springer.com/article/10.3758/s13428-021-01704-4


Scientists capture humor's earliest emergence in young children
https://medicalxpress.com/news/2021-11-scientists-capture-humor-earliest-emergence.html

ユーモアや笑いの感覚を持つことは、ストレスに対処したり友達を作ったりする上で重要ですが、一体どのように人間のユーモアが発達するのかはほとんど研究されていないとのこと。そこで研究チームは、赤ちゃんが持つユーモアの感覚について親に尋ねる「Early Humor Survey(EHS/早期ユーモア調査)」という24問のアンケートを作成し、イギリス・アメリカ・オーストラリア・カナダから募集した671人の子どもの両親に、アンケートに回答するように求めました。

回答結果を分析したところ、一部の赤ちゃんは早くも生後1カ月の時点で特定のユーモアを正しく理解しており、推定50%の赤ちゃんは生後2カ月の時点でユーモアの感覚を持っていることが判明しました。また、赤ちゃんは大人が仕掛けるユーモアを面白がったり大人の発言をまねしたりするだけでなく、自らユーモアを生み出す能力も早い段階から発達させており、赤ちゃんの推定50%は生後11カ月までに何かしらのユーモアを感じさせる行動をすることもわかりました。一度ユーモアを生み出すことを覚えた赤ちゃんは、その後も繰り返し面白いことを言ったり面白いことをしたりしたそうです。


研究チームは、調査対象の子どもが持つ可能性がある21種類のユーモアを特定し、それぞれの成長段階でどの種類のユーモアを持つのかを調べました。その結果、1歳未満の赤ちゃんは身体的・視覚的・音声的なユーモアを高く評価する傾向がみられました。この種類のユーモアには、いないいないばあ・くすぐり・変顔・通常時と違う動作・面白い声・追いかけっこ・物を変な風に使う(カップを頭の上に置くなど)が含まれています。

また、1歳児は誰かをからかう・服を脱ぐ・誰かを怖がらせる・トイレに関するユーモア・動物のまねをするといった、他の人からリアクションが得られる種類のユーモアを正しく理解していたとのこと。


2歳児になるとより言語的なユーモアに興味を持つようになり、間違ったラベリング・間違った概念(「犬は『モー』と鳴く」といったうそなど)を面白がるようになったそうです。また、誰かを面白がらせる行動や、誰かを押すというようなアグレッシブなユーモアを行うようになったと研究チームは述べています。

そして、3歳児になるとさらに言語的なユーモアの感覚が発達し、社会的に不適切な言葉を面白がったり、ダジャレやジョークを理解し始めることがわかりました。


ブリストル大学教育学部のElena Hoicka准教授は、「私たちの研究結果は、ユーモアが最初の4年間で複雑に発達するプロセスであることを示しています。子どもや大人におけるユーモアの普遍性や重要性を考えると、ユーモアが幼児の認知的・社会的・精神的な機能にどう役立つかを理解するために、ユーモアそのものの出現だけでなく、ユーモアが最初にどのように発達するのかを判断するツールを開発することが重要です」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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