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吐き気には「冷たい空気を吸い込む」のが効く、一体なぜ?


遠足などの遠出の際にはどうしても長時間車に乗ることになりますが、長時間の乗車につきものなのが車酔い。車酔いの中でも最大の問題である「吐き気」に有効な「冷たい空気を吸い込む」という方法について、ニューヨーク市の救急医であるロバート・グラッター氏が解説しています。

Why does cold fresh air help nausea go away? | Live Science
https://www.livescience.com/why-cold-air-helps-nausea

グラッター氏によると、冷たい空気が吐き気を軽減するメカニズムは体の中心部の体温である「核心温度」が関わっているとのこと。乗り物酔いの代表的な症状は発汗・吐き気・嘔吐(おうと)ですが、実際には「核心温度が下がる」という症状も呈しています。核心温度の低下は、約150年前の船乗りの間ですでに知られていましたが、医学会が研究を始めたのはここ数十年とのこと。


乗り物酔いの際には皮膚の毛細血管が拡張し、皮膚の表面近くに血液が多く流れ込んで皮膚から放出される熱量が増加するため、核心温度が低下します。さらにこのプロセスと同時に発汗も亢進されるため、相乗効果でさらに核心温度は下がります。

乗り物酔いで核心温度が低下した場合、中枢神経系、特に体温を調節する脳の視床下部が体温の低下を抑えようとして活性化します。そのため、吐き気や乗り物酔いを起こした人は、核心温度が低下しているにもかかわらず、暑く感じたり、顔が赤くなったりするとのこと。


グラッター氏によると、実際に吐き気を生み出すのは核心温度の低下を打ち消そうとして活性化する視床下部にあるとのこと。そのため冷たい空気を吸ったり首の後ろを冷やしたりすると、体温を上げようとして活性化している視床下部の働きが落ち着き、吐き気が和らぐそうです。

一方、「核心温度の低下と視床下部の活性化がなぜ吐き気を生み出すのか」については明確にはわかっていませんが、嘔吐と体温変化は「毒素に対する体の自然な防御反応」という点で共通していることが原因という(PDFファイル)が存在します。嘔吐は体外に毒素を排出するという役割があり、核心温度の低下は有害物と戦うためのエネルギーを節約するという役割があるためです。

この仮説について、グラッター氏は「吐き気に伴う『冷や汗』が毒物や感染症に対する自然な防御反応の1つだと仮定すると、毒素を検出した後に体温が下がるというのは進化的アプローチの一種である可能性があります」と回答。「ヒトや実験動物は毒物を投与された際に低体温になる」という研究結果があると語りました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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