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「学校の監視ソフト入りデバイス」はいかに子どもに悪影響を及ぼすのか


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行し始めて以降、学校で「タブレット」などのデバイスが使われることが増えています。これらのデバイスは学校側が管理しており、生徒の自由な使用は制限されていることが一般的。この「学校によるデバイスを介した生徒の監視」が子どもたちに悪影響を及ぼす可能性を研究者は指摘しています。

School surveillance of students via laptops may do more harm than good
https://theconversation.com/school-surveillance-of-students-via-laptops-may-do-more-harm-than-good-170983

アメリカの一部の学区では生徒のデバイス使用状況が企業によって監視されており、自傷行為に関するキーワードを入力した生徒やトラブルに巻き込まれそうな生徒、問題のある生徒を検出する仕組みになっているとのこと。


ノースカロライナ大学グリーンズボロ校の経営学教授であるニル・クシェトリ氏は、このようなデバイス監視を「生徒に対し感情的・心理的に危害を加える」と指摘し、問題点について解説しています。

1つ目の問題として、生徒が監視されていることを認識している場合、オンラインで自分の本当の考えを共有する可能性が低くなり、自信を持った大人に成長しなくなってしまうことが挙げられるとのこと。クシェトリ氏は「一般的に監視活動は、自分の考えを分析し、実行する能力の成長を妨げます」と述べています。

2つ目の問題として、マイノリティの人種が害を被る可能性が高くなる点をクシェトリ氏は挙げています。クシェトリ氏は「アフリカ系アメリカ人のツイートは『攻撃的』とフラグを立てられる可能性が他の人よりも50%高い」という研究に言及。マイノリティの生徒は人工知能のデータセットがマジョリティよりも少ないため、マイノリティの人種への監視はより偏り、学校の介入を増加させる可能性が高くなるとのこと。

人工知能による検出の問題は他にもあり、歌詞や小説に出てくる文章が誤って「疑わしい」と検知されたり、性的マイノリティの生徒が自分のことを知るために入力した検索ワードが「ポルノコンテンツ」と誤検知されたりする可能性も考えられるとのことです。


3つ目の問題は、セキュリティ上のリスクの増加というもの。デバイスを監視する企業がハッキングを受けた場合、生徒の個人情報が収集されたり、デバイスのカメラが制御されたりする可能性があります。2021年10月には、Netopという監視会社が通信の暗号化を怠っており、配布した監視ソフトにカメラとマイクを制御される脆弱(ぜいじゃく)性があることが確認されています。


クシェトリ氏は「学校は、生徒の監視が引き起こす害をより綿密に調べ、実際に生徒を保護するのかどうかについて問いかけてみるのが良いでしょう」と述べました。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   セキュリティ, Posted by log1p_kr

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