サイエンス

地球近傍小惑星「カモオアレワ」が「月のかけら」である可能性が浮上


地球に接近する軌道を持つ地球近傍小惑星の「カモオアレワ(Kamoʻoalewa)」が、大昔に月から飛び出した破片である可能性がアリゾナ大学の研究チームによって示されました。

Lunar-like silicate material forms the Earth quasi-satellite (469219) 2016 HO3 Kamoʻoalewa | Communications Earth & Environment
https://doi.org/10.1038/s43247-021-00303-7


Near-Earth Asteroid Might be a Lost Fragment of the Moon | University of Arizona News
https://news.arizona.edu/story/near-earth-asteroid-might-be-lost-fragment-moon

「カモオアレワ」は2016年に発見された公転周期が地球とほとんど等しい天体で、地球から観察すると振動しているような軌跡を描くことからハワイ語で「振動する天体」を意味する「カモオアレワ」と名付けられました。カモオアレワの観察は2016年以降も続けられ、2017年にはカモオアレワが反射する光のパターンから「人工物ではなく小惑星である」ことが確認されています。

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今回の研究でも上記の研究と同様に「大型双眼望遠鏡(LBT)」を用いてカモオアレワが反射する光のパターンが観察されました。観察の結果、カモオアレワが反射する光のパターンが既知の地球近傍小惑星のものと一致せず、アポロ計画で持ち帰られた「月の石」のパターンと一致することが判明しました。この結果から研究チームは「カモオアレワは月に由来している可能性が示唆された」と述べています。

研究チームの一員であるベンジャミン・シャーキー氏は「私たちは2021年の春の調査を終え、『それは本当だ』という結論に達しました。『カモオアレワが月に由来する』という説明は、他の説明よりも観察結果を簡単に説明できます」と述べています。


アリゾナ大学によると、カモオアレワは毎年4月の数週間だけ観察可能とのこと。研究チームは2022年4月にもカモオアレワを観察して、詳細を明らかにすることを計画しています。またカモオアレワを巡っては、中国が無人探査機を送りこんでサンプルを採取する計画を発表しており、今後の研究に注目が集まっています。

ZHENGHE-A MISSION TO A NEAR-EARTH ASTEROID AND A MAIN BELT COMETREPL.
(PDFファイル)https://www.hou.usra.edu/meetings/lpsc2019/pdf/1045.pdf

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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