メモ

Googleの水使用量を隠すため市当局が報道機関を訴える


オレゴン州ワスコ郡の郡庁所在地にあたるザ・ダルズで、市当局が地元紙を訴えるという事態が発生しました。発端は、Googleと市が、データセンターに対する水道容量の優先割り当てと引き換えに、水源拡張の工事費を負担するという契約を交わしていたことにありました。

The Dalles sues to keep Google’s water use a secret - oregonlive.com
https://www.oregonlive.com/silicon-forest/2021/11/the-dalles-sues-to-keep-googles-water-use-a-secret.html

Googleがザ・ダルズにデータセンターを開設したのは2006年のこと。Googleのデータセンターはオレゴン州初のもので、Googleは2006年以降ザ・ダルズに計18億ドル(約2050億円)を投資して200人以上を雇用するなど、同市の雇用創出や税収改善に大いに貢献してきました。

The Dalles, Oregon – Data Centers – Google
https://www.google.com/about/datacenters/locations/the-dalles/


そんなザ・ダルズにGoogleは新しくデータセンター2基を建造する計画を打ち出しました。この計画は市当局がGoogle側に提示した「1基目のデータセンターの固定資産税は50%オフにし、2基目のデータセンターの固定資産税は40%オフにする。その代わりに、各データセンターの着工時にはGoogle側が300万ドル(約3億4000万円)を前払いする」という優遇措置を受けてのもので、ザ・ダルズ市議会も満場一致でこの優遇措置を承認しました。

しかし、この減税措置の一環として交わされた「水使用量に関する条件」が大きな話題を呼んでいます。データセンターは冷却に大量の水を用いるため、この契約には「Googleに対して一定の水道容量を優先的に割り当てる。その代わりにGoogle側が水源拡張工事のために2850万ドル(約32億5000万円)を負担する」という条件が含まれており、Googleが大量の水を使うことまではわかるものの、具体的な使用量については不透明という状況でした。


市当局はこれについて、「Google側に負担によって総水道容量は1日1000万ガロン(約3800万リットル)から1500万ガロン(約5700万リットル)になり、Googleが使用するのは増加分の一部である」と説明しましたが、数年続いた干ばつにあえぐ同市では不安の声が拡大。長期的な水供給に関する懸念から、水使用量について条件を明かすよう求める動きが盛んになっていました。

この声に応えたのが地域購読率No.1という地元紙のThe Oregonianです。The OregonianはGoogleの水使用量に関する記録の公表を差し控えるという市の決定を不服として、ワスコ郡検事総長に「公益のためにGoogleの水使用量を開示して欲しい」と書簡を送付しました。

oregonian.appeal10.7.21[1] - DocumentCloud
https://www.documentcloud.org/documents/21096548-oregonianappeal107211


この書簡に対し、ワスコ郡のマシュー・エリス検事総長はGoogleの水使用量は市の秘密保持契約の適用外と認定し、ザ・ダルズ市当局に対して記録を開示するように命じました。

この命令に対し、ザ・ダルズ市当局は「オレゴン州法において、今回の水使用量に関する情報は情報開示義務の適用外である『企業秘密』にあたる」と主張し、The Oregonianを相手取って訴訟を提起しました。

Dalles suit - DocumentCloud
https://www.documentcloud.org/documents/21096544-dalles-suit


ザ・ダルズ市の公共事業ディレクターのデイブ・アンダーソン氏は「今後水資源が豊富になろうと減少しようと、いずれにせよGoogleの負担によって水源拡張工事を行ったほうが住民の利用できる水量は多くなります」「この契約は双方に利益があると考えています」と説明しました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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