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雑音は一切不要なものなのか?


テストの最中に周りの人のゴホゴホというせきやパラパラという紙をめくる音が気になって集中が解けてしまったという経験のある人も多いはず。そんな雑音とは一切不要なものなのかについて、ソフトウェア開発者のEkin Öcalan氏が自分の意見をブログ上でつづっています。

Noise - by Ekin Öcalan - Sustainable Productivity
https://ekin.substack.com/p/noise

近所で行われている工事の音や電車やトラックの生み出す騒音、同僚の話し声などなど、日常にはさまざまな雑音が存在します。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって在宅勤務を認める職種も増えましたが、結局のところ自宅にも雑音は存在します。


過度な雑音が生産性を低下させるというのは自明ですが、Öcalan氏によると一般的な雑音が生産性を損なう真の理由は「内容が集中を妨げる」という点にあるとのこと。例えば同僚の話し声の場合、最初は会話の内容が断片的に耳に入るだけですが、いつの間にか会話の断片ではなく会話全体に聞き入ってしまい、最終的に集中力が削がれます。雑音対策をうたうノイズキャンセルを使って音楽を聞いていた場合でも、しばらくしてお気に入りの曲が流れてきたときには、その曲をライブで聴いたときの思い出が自然と頭によぎってしまい、結局集中が削がれてしまうかもしれません。実際に、「複雑な仕事に取り組むときは音楽を聞かないほうがパフォーマンスが高くなる」という研究結果が2020年に発表されています。

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かといって、ありとあらゆる雑音が悪いわけではありません。ノイズを混ぜるとパフォーマンスに好影響が出るという現象「確率共鳴」はさまざまな分野で確認されており、一例ではザリガニの尾びれに電気信号を与えると優れた回避行動を取るという結果や、電気信号を感知して小魚を捕食することで知られるヘラチョウザメにノイズを含んだ電場をかけるとその捕食能力が向上するという結果が確認されています。

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ノイズに関連してÖcalan氏が推薦しているのが言語処理における脳の画像イメージングの専門家である神経科学者のアンドリュー・スマート氏の著作「Autopilot:The Art and Science of DoingNothing(できる人はダラダラ上手: アイデアを生む脳のオートパイロット機能)」で、この本によると「適切な量のノイズを加えることで、実際にシグナルを高めることができる状況がたくさんある」とのこと。

できる人はダラダラ上手: アイデアを生む脳のオートパイロット機能 | アンドリュー・スマート, Andrew Smart, 月沢李歌子 |本 | 通販 | Amazon


Öcalan氏は「注意を引くような内容がないノイズの場合は生産性を高めることができる」「私たちの日常や職場に存在するノイズのほとんどは生産性を下げる」と主張して、「歌詞もなければなじみのあるリズムも存在しないBGMや文脈のわからない会話しか存在しないカフェのような環境は、私にとってどのような知的作業でも高いパフォーマンスを発揮できる最高の環境です」とコメントしました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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