評価額2兆7000億円で世界第3位の半導体メーカーGlobalFoundriesがIPO申請、Intelとの交渉は決裂か

by MWM Energy

アメリカの半導体製造企業のGlobalFoundriesが、2021年10月4日にアメリカ証券取引委員会に提出した文書により、同社が新規株式公開(IPO)を計画していることが分かりました。同社は2021年以降の8～10年間で、半導体の需要が2倍になると見込んでおり、投資を大幅に増加させる考えを示しています。

UNITED STATES SECURITIES AND EXCHANGE COMMISSION Form F-1
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001709048/000119312521290644/d192411df1.htm

GlobalFoundries files for initial public offering amid chip shortage, shows billions in losses - MarketWatch
https://www.marketwatch.com/story/globalfoundries-files-for-initial-public-offering-amid-chip-shortage-shows-billions-in-losses-11633370311

Abu Dhabi-controlled GlobalFoundries files for IPO amid chip shortage
https://www.cnbc.com/2021/10/04/abu-dhabi-controlled-globalfoundries-files-for-ipo-amid-chip-shortage.html

Globalfoundries files for IPO • The Register
https://www.theregister.com/2021/10/04/globalfoundries_files_ipo_us/

ニューヨーク州のマルタに本社を置くGlobalFoundriesは、TSMCとサムスンに次ぐ世界第3位の規模を誇る大手半導体ファウンドリです。記事作成時点では、アラブ首長国連邦・アブダビの政府系ファンドであるムバダラ・インベストメントの子会社が全株式を保有している非上場企業ですが、アメリカ証券取引委員会に提出した目論見書の中で、ナスダックへの上場により最大10億ドル(約1110億円)を調達する計画を明らかにしました。報道によると、GlobalFoundriesは自社の評価額を250億ドル(約2兆7000億円)と見積もっているとのことです。

同社は、今回のIPOで集める資金の具体的な使途については伏せていますが、目論見書では製造事業の拡大や新技術への投資、特にシリコンゲルマニウムや窒化ガリウム半導体などの研究開発に本腰を入れることが示唆されています。

報道によると、GlobalFoundriesの2020年の収益は、事業を一部売却したことなどから前年比17％減の48億5000万ドル(約5380億円)だったものの、2021年上半期の収益は前年同期比13％増の30億ドル(約3330億円)超を達成し堅調に推移しているとのこと。

こうした点からGlobalFoundriesは目論見書の中で、今後の見通しについて「自動車の電動化による需要の増加や、パンデミックの影響による生産の落ち込みにより、半導体の需要と供給との間に大きな不均衡が生じています。この不均衡は中期的には改善されると予想されていますが、業界全体の売上は今後8年から10年の間に倍増するとも見られており、半導体業界は需要に対応するために大幅な投資の増加を必要としています」と述べました。

なお、GlobalFoundriesは2021年7月に「Intelが3兆円以上で買収を検討中」と報じられていましたが、今回のIPO申請は交渉が実現しなかったことを示していると見られています。

Intelが半導体ファウンドリのGlobalFoundriesについて3兆円以上で買収を検討中との報道 - GIGAZINE