サイエンス

「チョコレートのテンパリングを簡単にする方法」を科学者が発見か


チョコレートを作るとき、慣れていないとミスをしやすい「テンパリング」の工程を簡単にクリアできるようになるかもしれない方法を科学者が見つけました。

Tempering of cocoa butter and chocolate using minor lipidic components | Nature Communications
https://doi.org/10.1038/s41467-021-25206-1


Scientists May Have Just Found a Way to Make Chocolate Tempering Much Easier
https://www.sciencealert.com/adding-the-perfect-snap-to-chocolate-could-be-a-lot-easier-with-this-new-ingredient

研究はカナダ・ゲルフ大学食品科学科のジェイ・チェン氏、サイード・M・ガズニー氏、ジャービス・A・ストッブズ氏、そしてアレハンドロ・G・マランゴーニ教授によって行われました。論文はオープンアクセスの学術雑誌・Nature Communicationsに掲載されています。


市販品でも手作りのものでも、チョコレートの成分にはだいたい「ココアバター」「カカオマス」「砂糖」などが含まれています。この中で「チョコレート」らしい輝きや質感、もろさやすぐ溶けてしまう特徴は、結晶化したココアバターに由来します。溶けたチョコレートを固める工程である「テンパリング」は、このココアバターの結晶を、最も安定した結晶形であるV型結晶にする作業です。

先行研究により、テンパリングがうまくいくかどうかはココアバターに含まれる微量成分である遊離脂肪酸リン脂質の影響を受けるらしいことがわかっていますが、具体的にどれぐらいの分量ならどのように影響するのかということは不明でした。

研究チームは、精製したココアバターとカカオマスにさまざまな非トリアシルグリセロール脂質成分を添加して、物理的な特性の変化を調べました。

その結果、遊離脂肪酸などの分子量もテンパリングの成功にある程度の影響を及ぼしていたものの、真のゲームチェンジャーはリン脂質、特に飽和ホスファチジルコリン(レシチン)ホスファチジルエタノールアミン(ケファリン)であることがわかりました。

研究によると、高濃度の飽和ホスファチジルコリン分子とホスファチジルエタノールアミン分子は、ともにV型結晶を形成し、カカオバターに最適な微細構造と光沢、物理的強度をもたらすとのこと。

こうして作ったチョコレートの最終的な構造と特性は、市販のチョコレートと同等だとのことです。

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in サイエンス,   , Posted by logc_nt

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