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人は「善の心を持つ存在」と「悪の心を持つ存在」をどのように捉えているのか?


漫画やアニメなどで、登場人物の両サイドにそれぞれ「善の心」と「悪の心」を表すキャラクターが出現し、性格や考え方の違う両者が言い争うシーンはおなじみです。新たに、イギリスとカナダの研究チームが、人々が「善良な存在」と「邪悪な存在」をどのように捉えているのかを調べました。

Butt-dialing the devil: Evil agents are expected to disregard intentions behind requests - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022103121000913

Perceptions of supernatural beings reveal feelings about good and bad in humans | Waterloo News | University of Waterloo
https://uwaterloo.ca/news/perceptions-supernatural-beings-reveal-feelings-about-good


イギリス・ヨーク大学やカナダ・ウォータールー大学の研究チームは、「映画や民話において、悪魔は人々の『意図しない願い』をかなえようとすることが多い一方、天使は人々の『本当の願い』を正しく認識している場合が多い」という点に興味を持ったそうです。

そこで研究チームは、人々が「善の心を持つ存在」と「悪の心を持つ存在」をどのように認識しているのかを調べる実験を行いました。実験では、被験者に「主人公が人間または超自然的な存在に自分の願いをかなえてもらおうとする」という筋書きの短編小説を読んでもらい、主人公の願いがかなえられるかどうかを評価してもらったとのこと。

主人公が願いをかける対象は、「善の心を持つ人間」「善の心を持つ超自然的な存在」「悪の心を持つ人間」「悪の心を持つ超自然的な存在」のいずれかであり、願いの内容は「主人公の意図を適切に反映したもの」から「主人公の本当の意図からはズレているもの」までさまざまでした。


実験の結果、被験者は願いをかける対象が「善の心を持つ人間/超自然的な存在」だった場合、主人公の願いが本人の意図を適切に反映しているかどうかによって、願いをかなえるかどうかが左右されると評価しました。一方、願いをかける対象が「悪の心を持つ人間/超自然的な存在」だった場合、主人公の願いが本来の意図とはズレていても構わずに願いをかなえようとすると評価されがちだったとのこと。

今回の実験結果からは、「善の心を持つ存在は相手の意図に敏感である」「悪の心を持つ存在は相手の意図に無関心である」と人々が認識していることが示唆されています。論文の共著者であり、ウォータールー大学の博士課程に在籍するブランドン・ゴールディング氏は、「ある人物が他人の意図をあまり重視せず、行動の結果をより重視していることは、その人を悪人とみなす1つの要因になるかもしれません。一方、善良な人は誰かが実際にやったことに加えて、その意図も考慮すると私たちは考えています」と述べています。

ウォータールー大学の発達心理学教授であるオリ・フリードマン氏は、「この研究は、人々が善と悪をどのように捉えているかについて、非常に興味深いことを教えてくれます」とコメント。人々は善の心を持つ存在と悪の心を持つ存在について、「相手の意図をくみ取って配慮できるかどうか」に関連付けて考えていると、フリードマン氏は主張しました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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