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Netflixの元従業員らがインサイダー取引で起訴される、決算発表前に加入者数の情報をグループで共有


アメリカにおける証券取引の監督・監視を担う証券取引委員会が2021年8月18日、Netflixの元従業員らをインサイダー取引で起訴したことを発表しました。元従業員は決算発表前にNetflixの加入者数増加に関する情報を入手して兄や友人と共有したほか、Netflixを退社した後は別の従業員から情報を入手して自分でも取引を行っていたとのことです。

SEC.gov | SEC Charges Netflix Insider Trading Ring
https://www.sec.gov/news/press-release/2021-158


Netflix insider trading ring reaped $3 million in profit, SEC says
https://www.cnbc.com/2021/08/18/netflix-insider-trading-ring-reaped-3-million-in-profit-sec-says.html

Three Former Netflix Software Engineers Charged With Insider Trading By SEC – Deadline
https://deadline.com/2021/08/three-former-netflix-software-engineers-charged-insider-trading-sec-1234817441/

Ex-Netflix Employees Accused of $3.1 Million Insider Trading Scheme - Variety
https://variety.com/2021/digital/news/netflix-ex-employees-insider-trading-scheme-1235044101/

証券取引委員会によると、インサイダー取引の中心となっていたのはNetflixの元従業員であるSung Mo "Jay" Junとその兄のJoon Mo Jun、親友のJunwoo Chonの3人。Sung Mo Junは2013年~2017年にかけてNetflixのソフトウェアエンジニアとして勤務していた人物で、2016年~2017年にかけてNetflixの加入者数増加に関する情報を決算発表前に入手し、兄のJoon Mo Junや親友のChonに情報を提供していました。


Joon Mo JunとChonはこの情報を参考にして2016年~2017年に4回Netflix株の取引を行い、Joon Mo Junは21万5000ドル(約2360万円)、Chonは52万1000ドル(約5730万円)の収益を得たとのこと。また、Chonは収益のうち6万ドル(約660万円)を分け前としてSung Mo Junに渡したそうです。

Sung Mo Junは2017年にNetflixを退社しましたが、その後を引き継いで情報提供者となったのが2016年~2021年2月にNetflixでソフトウェアエンジニアとして働いていたAyden Leeです。LeeはSung Mo Junを社内のメンターとしており、Sung Mo Junが退社した後も要請に応じて加入者数の情報を提供したとのこと。Sung Mo JunはLeeから得た情報をJoon Mo JunやChonと共有し、2019年までの期間中にSung Mo Junは45万3000ドル(約4980万円)、Joon Mo Junは81万3000ドル(約8940万円)、Chonは110万ドル(約1億2000万円)を稼ぎました。犯人グループが一連のインサイダー取引で得た金額は、総額300万ドル(約3億3000万円)を超えているとみられています。


SECはデータ分析ツールを使用して不審な取引履歴を発見したとのことで、中には「利益を得ようとしたがうまくいかなかった取引」の履歴もあったそうです。犯人グループは当局による捜査を回避するため、暗号化されたメッセージアプリを使って取引について話し合っていたことも明らかになっています。

Sung Mo Jun、Joon Mo Jun、Chon、Leeは刑事訴訟で罪を認めており、今後は民事訴訟で罰金額が決められる予定だとのこと。なお、Leeは情報を提供したことによる報酬を受け取っておらず、担当弁護士のDavid Callaway氏は、Leeがメンターであり友人でもあったSung Mo Junに利用されていたと主張。「それにもかかわらずAydenは自分の行動に全責任を負っており、この間違いを乗り越えて人生を前進させることを楽しみにしています」と、Callaway氏は述べました。

また、Sung Mo Junらとアプリのチャットグループで取引について話し合っていたNetflixの元従業員であるJae Hyeon Baeに対しても、民事訴訟で罰金刑が下されました。Baeは直接的に加入者数の情報を漏らすことはしなかったものの、Netflixの加入者数の増加がアナリストの予想を下回っていた際、Joon Mo Junに対してNetflix株を売るようにアドバイスしていたそうです。


Netflixは社内の透明性を重視する社風を持っており、機密性の高い内部情報が従業員に対して開示されることで知られています。リード・ヘイスティングスCEOは2020年に刊行した「NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一『自由』な会社、NETFLIX」の中で、「Netflixはおそらく、四半期が終了する数週間前に社内で決算内容を共有する唯一の公開会社です」と述べています。

投資家向け広報担当副社長のスペンサー・ワン氏は同書の中で、加入者数の情報が通常は「極秘」であり、投資家はこの情報を利用して多額の利益を上げられると指摘。ワン氏はNetflixに入社した当時、決算発表前に加入者数が記載された電子メールを受け取っただけでなく、全ての従業員がサインアップすれば加入者数を知ることができると知って、非常に驚いたとのことです。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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